日報管理の負荷軽減で、店舗マネジメントに集中できるように
(株式会社アイセイ薬局)
クラウド型運行管理サービス「ビークルアシスト(Vehicle Assist)」の活用について、全国397店舗の調剤薬局を展開する、株式会社アイセイ薬局の事例をご紹介します。導入を決定した理由や、活用してみて分かったことなどを、管理本部総務部部長の石川国夫さん、同部係長の関根典子さん、藪田和奏さんにうかがいました。
アイセイ薬局は2020年8月から「ビークルアシスト」を導入し、以降車両リースの入れ替え時に合わせてコンスタントに導入車両を増車、現在では約100台の社有車に導入されています。
社有車の、日報管理に関する負荷が軽減
「ビークルアシスト」を導入された経緯を教えてください。
「導入のきっかけとなったのは、各拠点、店舗を回る店舗マネージャーが利用している個人貸与の車両を管理する必要があったことです。
『ビークルアシスト』導入前は、日々の運行状況(出発地、到着地、乗車距離)を手書きで記入、所属の支店を経由して月次で管理本部に提出してもらっていました。その方法では、マネージャーはもちろん、それをチェックする支店長や管理本部も手間がかかることが課題だったのです。
そこで日報管理替わりにもなるドライブレコーダーの導入を決めました」(関根さん)
薬局の店舗マネージャーとはどのような仕事なのでしょうか。
「各店舗と本社の橋渡しをする仕事で、ひとりのマネージャーがエリアごとに8店舗程を担当します。マネージャーは担当店舗を巡回するだけでなく、行政の手続きを行ったりもします」(関根さん)
「店舗マネージャーは、コンビニエンスストアでいえばスーパーバイザ―のような役割ですね。各店舗を回って、本社からの施策を伝えると同時にその施策の進捗状況を管理し、課題があれば店舗職員と一緒に課題をクリアする方法を考えたりしています。また、処方元ドクターとの関係性の維持などもあり店舗に訪問しての業務は多岐にわたります。店舗は交通の便が良いところばかりではないため、場所によっては車の利用が必須なのです」(石川さん)
「マネージャーは業務量が多いので、なるべく日報作成に手がかからないように、自動で行動履歴を取得できるようにしたいという思いがありました。ですからSDカードにデータを蓄積するだけでなく、通信型で、『本部に履歴を送る際に手間がかからないもの』という条件で探しました」(関根さん)
管理本部において、日報に関わる業務に変化はありましたか。
「結果的に『ビークルアシスト』を付けている車両に関しては、紙の日報の月次での提出が不要になっています。我々管理本部からすると、社内全体でチェックする紙の日報の枚数が半減していますので、楽になりましたね。
その他にも細かい履歴が取れるので、日報の管理以外にも事故防止などの思わぬメリットがありました」(関根さん)
導入の決め手は価格とフォロー体制
通信型ドライブレコーダーのなかでも「ビークルアシスト」を選ばれたポイントはどこでしょうか。
「一番の決め手は、月額の使用料が安かったことです。他に検討していた企業に比べて半分以下の費用に抑えられていて、そこが決め手になりました。
また『ビークルアシスト』の導入を検討したときに、営業の方の製品知識が豊富で、信頼感がありましたね。
実際に導入を決めた後の取り付けまでの流れもスムーズでした。リース会社とのやり取りから設置まで、パイオニアの方で手配してくれますし、その後も毎月『登録情報をください』と連絡をいただいて、管理本部が情報を提出する…というフローができており、運用にもストレスがありません」(関根さん)
2020年8月から順次導入していただき、今は100台にまで利用を拡大していただきました。
「当初、『ビークルアシスト』設置は店舗マネージャーのみという話だったのですが、導入後に範囲を拡大して、個人貸与車全てに設置を行うことになりました。
車の入れ替えの段階で、徐々に『ビークルアシスト』を導入していくつもりだったのですが、全ての個人貸与社有車に設置することになり、一気に導入が進んだという経緯があります」(関根さん)
なぜ利用範囲を拡大されたのですか。
「日報管理の負荷軽減に加えて、コンプライアンス対策に有効だと判断したことも、『ビークルアシスト』設置を促進した理由です。
社有車を運転する業務だと、車両の不正使用防止や、万が一の事故があった場合に備えて、車の使用履歴を会社が追える状態にする必要があるためです」(石川さん)
導入後に実感した、事故削減の効果
事故削減について、導入したことで分かった効果があれば教えてください。
「それまで大きな事故があったわけではないので、導入時には安全運転実現の機能について活用イメージがなかったのですが、導入してみて事故未満の危険運転が多いことが発覚して、驚きました。
『ビークルアシスト』は急ブレーキ・スピード超過などの危険運転がある度に、運転車両内でアラートを鳴らします。それと同時に、自動で本部にメール報告が送られるのですが、導入当初はメールが次々に着て着信音が鳴りっぱなしになるくらいでした」(関根さん)
事故はなくても、危険運転が多いことを知ったと。その状況は改善されたのでしょうか。
「状況が明らかになったことによって、改善に取り組むことができています。
毎月『安全運転支援レポート』というデータを管理画面で確認するのですが、そこには安全運転に関してベスト社員のランキングとともに、危険運転が多い社員のランキングも記載されています。
それを見ると危険運転ランキングの常連は大体同じ人だったりするのです。管理本部からは、対象者に、注意喚起のメールを送っていて、それによって、個人個人が危険運転を減らしている効果が見えています。
データの蓄積があるので過去の運転状況と比較でき、働きかけの参考になります」(藪田さん)
「全体的に事故は減ったと思います。様々な要因はありますが、自動車保険の割引率も引き上げられて、以前よりも保険料が抑えられるようになりました」(関根さん)
「安全運転支援レポート」の活用と成果について、詳しくお聞かせください。
「毎月月初に前月分の『安全運転支援レポート』を確認して、安全運転の上位10名のレポートのキャプチャーを、写真付きで各支店長クラスにメール送信しています。一方で安全運転でなかったワースト3名には個人にメールでお知らせしているわけです。
そういった取り組みから、社員は自分の行動が見られているという意識を強く持っていると思います。『ビークルアシスト』導入前とは全然違って、運転ルートまでハッキリ地図上で見ることができるので。意識が変わった人が多いのではないかと思います」(関根さん)
「ビークルアシスト」導入が、安全運転の実現に役立っているのですね。
「藪田や関根が毎月、『あなたは急ハンドルしましたよ』、『あなたは優良運転者でしたよ』という安全運転に関するお知らせを作って、管理本部から発信していることの成果です。
ドライブレコーダーは事故が起こってしまったときの分析にしか使えません。しかし『ビークルアシスト』には、事故を起こさない行動が身につくというメリットがあります。万が一社有車が事故を起こしたときの、レピュテーションリスクを回避することにつながっていますね」(石川さん)
現場の理解を得るための説明プロセス
「ビークルアシスト」導入時の、現場の反応はどうでしたか?
「現場は最初、抵抗があったようです。実は3年ぐらい前にもドライブレコーダーを導入しようという話がありました。しかし現場の心理的な抵抗感もあって実現しなかったのです。『監視するようなことをしなくても、運営部隊がしっかりと見ているのだから信頼してくれ』という気持ちもあったのだと思います。
しかし今回は時代の変化に応じて、『コンプライアンス意識の向上をしっかりとしていこう』という会社全体の意志もあって、導入にいたりました」(石川さん)
「最初のうちは、皆さん抵抗感があったのか、管理本部へ様々な問い合わせが来ました。『いつも通信状態になっていて、ドライブレコーダーに監視されているのか?』とか。『運転中は車内でずっと歌を歌っているんですけど、皆に聞こえてしまっているのですか?!』とか……」(関根さん)
そういった現場の不安は、どのように解決したのですか。
「我々の選択しているプランでは、常時録画がまるごと管理本部に通信で共有されることはありません。強衝撃が計測されたときにだけ、動画がアップされるようになっています。
『普段の状況がずっとこちら側に届くことはないので、プライバシーの面では安心してください』とは伝えています。
また、どんな運転が危険運転としてアラートされるのかということも、パイオニアに聞いたうえで一覧にして社員に共有しました」(関根さん)
きちんと情報共有することによって、常に監視されているのではないかという、抵抗感が減りそうです。
「やはり『ビークルアシスト』がどういったものかということを、分かってないと抵抗がありますよね。ですから『通信で何が共有されるのか』という基準を、始めの段階で皆さんによく分かってもらうように、心がけています。
そういった取り組みもあって、今では問い合わせがほとんど無くなりました」(関根さん)
コンプライアンス強化の重要ツールに
日報管理の工数削減という目標が達成されたうえで、交通事故の防止にも役立てられているとのこと。コンプライアンス強化の観点からも、今後は更に安全運転管理においての活用を推進されていくのでしょうか。
「その通りです。私たち管理本部としては、現在は『安全運転支援レポート』を先ほどお伝えしたような取り組みに活用するぐらいです。ただ、今後はあまりにも危険運転を繰り返す人には安全運転の講習の受講を促すといったことも、考えていくかもしれません」(石川さん)
「先日パイオニアのアルコールチェックのセミナーに出席して、アルコールチェッカーとの連携ができると伺い、関心を持っています。私たちはアルコールチェックが必須とされる事業所ではないのですが、できる限りそういった部分も進めるべきだとは思っていますので……。
アルコールチェッカーとドライブレコーダーの記録を『ビークルアシスト』で全部まとめられるのであれば、データ管理上助かります」(関根さん)
将来的に「ビークルアシスト」を新しい分野で活用する予定はありますか。
「アイセイ薬局は、介護福祉事業を行っている愛誠会というグループ会社があります。そういったところでも『ビークルアシスト』を活用できそうです。
デイサービスでは利用者様のお宅から施設までを社有車で送迎するのですが、細かく色々なお宅を巡るので日報管理も大変です。また利用者様目線で考えると、送迎での安全運転管理がきちんとしていれば、安心につながるはずです。
アイセイ薬局で積み上げたノウハウや事例を展開し、グループ全体の効率性を高めたり、コンプライアンス強化をしていければ良いですね」(石川さん)