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サービス紹介
導入事例
長野県 飯綱町様

「交通空白地域0パーセント」を目指して
(長野県 飯綱町)

長野県 飯綱町

業種
その他
導入台数
課題
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長野県北部、北信五岳に囲まれた丘陵地に位置する飯綱町では、交通空白地域および交通不便地域の解消など、すべての住民が公共交通を便利に利用できるようにするために、平成19年にデマンド交通システム「iバス」をスタートさせました。現在の人口約11,000人のうち約3分の2の住民が利用登録しているこのサービスに、ビークルアシスト APIをご活用いただいております。今回は、「iバス」担当の地域振興係 広田様にお話をうかがいました。

地域振興係の広田勝己主幹

歴史と自然が宿る町

飯綱町は牟礼村と三水村が合併して誕生しました。牟礼地区は江戸時代に北国街道の宿場町として栄え、金沢(加賀国)と江戸の中間に位置し、参勤交代の本陣がありました。また、佐渡の金を江戸に運ぶルートでもあり、当時はにぎわいを見せたようです。一方、三水地区はりんごが名産で生産量が大変多く、全国に出回っているりんごが100個とすると、そのうちの1個は飯綱産という規模になります。また、生食用だけでなく加工用も含めた多種多様な品種が栽培されており、現在では地元の企業によりジャムやお酒に加工されるなどして、全国に出荷されています。

デマンド交通システム「iバス」の誕生

合併後の平成18年、町内の公共交通のあり方について検討を始めました。特に地域の路線バスは人口減少などが原因で利用者数は減少傾向にあったため、長年に渡り町からの補助金によって維持されてきました。地理的には山がちで雪の多い地域ゆえに、バスがなければ住民がどこに行くにも不便になってしまいます。
「路線バスの廃止は困る。一方で財政支出は抑えたい。」これらの課題を改善するために、まずは住民のニーズやバスの利用実態を調査しました。その結果、そもそも高齢者にとってはバス停までの移動ですら道のりが大変であったり、中高生の通学では家族が自家用車で送り迎えすることが多いといった現状が見えてきました。それらを分析・検討し、費用対効果と使いやすさを考えてたどり着いた結論が、朝夕の通勤・通学時間帯では定時定路線バスの運行系統数を増やすこと、そして高齢者の利用が多い昼間は、利用したい時に利用者の家の前まで迎えに来る予約制のデマンドバスを走らせることでした。

「iバス」のシステム構築に向けたデマンド交通受付システムの競争入札では、初期コストやランニングコストの低さはもちろん、行き先や経路が日々変わるためカーナビの使用を条件としましたが、応札者の中で条件を満たし、かつ使い勝手の良かったパイオニアのシステムを特定・発注することにしました。

「iバス」に設置されたカーナビ

「iバス」導入による運行効率の改善

「iバス」は4台の15人乗りワゴン車を使用し、地形や人口分布を考慮して4ブロックに分けて運行しています。各ブロックとも駅や町役場など中心部に向かう「まち行き便」と、中心から遠方部へ向かう「お帰り便」の2方面を運行し、路線は利用者の予約状況次第で変わりますが、発車時刻は利用の目安になるよう固定しています。運行は平日のみで、1回の利用は300円とリーズナブルな設定となっています。

「iバス」の利用方法ですが、利用登録を済ませた住民が受付センターに電話で利用希望日時、乗車場所と行き先を伝えます。バスは定刻になると同じ方面に向かう人たちを順番に乗せて走ります。
導入の結果、乗客のいないバスを走らせることがなくなり運行効率が改善され、飯綱町の公共交通費用が約6パーセント、年間約250万円削減できました。また、環境負荷の低減にもつながり、温室効果ガス削減が話し合われた洞爺湖サミットの翌年に、第11回グリーン購入大賞を受賞しました。

ドライバーへのコース指示業務にビークルアシスト APIが活躍

デマンド交通を支えるシステムには、受付センターで利用者からの電話を取ると利用者情報がパソコン画面に表示されるCTIシステム※を導入しています。オペレーターは聞き取った利用希望日時と乗車地点、行き先を予約としてシステムに入力していきます。次にオペレーターは訪問地の位置や到着時間の要望などから訪問順を考慮した訪問地のリストを作成し、そのリストはビークルアシスト APIを利用してまとめてビークルアシストサーバーに送信されます。そして「iバス」に取付けたカーナビが出発前にビークルアシストサーバーから訪問リストを受け取り、ドライバーはカーナビの案内に沿ってその日に回るコースを巡回します。ドライバーに対し、正確に訪問地点を伝えられるので大変助かっています。

システム図(イメージ)
※CTIシステム:Computer Telephony Integration、コンピューターと電話を統合したシステム

電話で地域の足を支える

受付センターでは現在3名のオペレーターが対応しています。出発の直前に電話が入ることも少なくありませんが、ビークルアシスト APIにより訪問地点を追加したコースを素早く「iバス」に送ることができるので、正確かつ柔軟に利用者への対応ができています。また、車両の現在位置が地図上でわかるので、利用者からの「バスがどこにいるか」などの問い合わせにも対応できるので、お客様にも喜ばれています。こうした電話でのやりとりから、地域の皆さんの足を支えていると実感します。

交通サービスの充実で、ずっと変わらず住み続けられる町へ

飯綱町では各地区から中心部へ移動する「iバス」運行に加え、平成29年から運送会社と共同で県内初の貨客混載バスの運行を開始しました。遠方部と中心部を結び、利用者が減少するバス路線の維持存続・収益改善を図り、次の課題は地区間の移動支援だと考えています。住み慣れた町にずっと変わらず住み続けられるように、これからも様々な方法を考え、公共交通の確保、住民サービスの維持に努めていきたいと思っています。

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