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罰則付き上限規制も/「働き方改革法」 社用車管理上での対応必須事項とは?

2019年4月から順次施行されている「働き方改革法」。時間外労働の上限規制や罰則規定が盛り込まれており、「みなし労働制」を採用している企業にとっても対応は急務です。特に、社用車を使う業務は社外に出て移動を伴うため、業務状況の実態把握は難しいことが現実です。これらの点を踏まえて、本記事では法改正のポイントと対応方法をご紹介します。

【目次】

■そもそも、働き方改革法とは何か
■働き方改革法で見落とせない「5つの項目」
・残業時間の「罰則付き上限規制」
・年5日間の「有給休暇取得」の義務化
・労働時間の客観的把握
・「勤務間インターバル制度」の努力義務
・「割増賃金率」の中小企業猶予措置廃止
■日常の管理業務で求められる対応内容

そもそも、働き方改革法とは何か

働き方改革法は、多様な働き方を選択できる社会を目指して設立された法律です。「生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立」といった状況を背景に、より高い労働生産性の実現を目的としています。

働き方改革法といえば2015年にも法改正がありましたが、当時は限定的な内容にとどまっていました。今回、2019年の法改正では、より強制力のある内容となっている点が特徴です。

中小企業と大企業によって施行時期が異なる

関連法案の施行スケジュールを見る上では、中小企業と大企業によって施行時期が異なる点に注意が必要です。

厚生労働省によると、以下に該当する企業は中小企業と定義されています。自社が大企業と中小企業のどちらに該当するのか、予め確認しておきましょう。

<中小企業の範囲>
[業種:資本金*1、労働者数*2]
・小売業   :5,000万円以下、または 50人以下
・サービス業 :5,000万円以下、または 100人以下
・卸売業  :1億円以下、または 100人以下
・その他*3  :3億円以下、または 300人以下

*1. 資本金の額または出資の総額
*2. 常時使用する労働者数
*3. 製造業、建設業、運輸業、その他
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf

働き方改革法で見落とせない「5つの項目」

働き方改革関連法は全8項目から構成されていますが、今回はその中でも社用車をもつ会社にとって重要と考えられる5項目に絞ってご紹介します。

残業時間の「罰則付き上限規制」

大企業では2019年4月1日から、中小企業では2020年4月1日から施行される内容です。

改正前は年間6か月までは「残業時間の上限」が設定されていませんでした。また、年間6か月を超えて月45時間の残業時間を超過した場合でも罰則はなく、行政指導が行われるのみとなっていました。

しかし改正後には、「月100時間」「複数月平均80時間」「年720時間」という上限を超えた残業は禁止されています。この上限を超えた場合、あるいは年間6か月を超えて月45時間の残業時間を超過した場合には、事業者に対して「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられるとされています。

年5日間の「有給休暇取得」の義務化

改正前は労働者からの申し出によって、取得が成立していた「有給休暇」。しかし、改正後には、年5日の年休を労働者に取得させることが使用者の義務となりました。加えて、有給休暇を取得させる時期についても、労働者の意見を聴取・尊重することが求められています。

労働時間の客観的把握

改正前は「事業場外労働のみなし労働時間制」の適用労働者などは「労働時間把握の対象外」とされていました。しかし、改正後には、「高度プロフェッショナル制度」の対象者以外のすべての労働者の労働時間の把握が義務化されています。

ここでいう「客観的把握」とは、タイムカードやパソコンのログイン・ログオフといった働いた時間を客観的に記録することが必要とされます。例外として「自己申告」が認められるケースとして、従業員が業務に直行又は直帰する場合も認められていますが、報告と実態との差異があった場合には、報告が適正に行われているか確認を行う必要があるため、注意が必要です。

「勤務間インターバル制度」の努力義務

「勤務間インターバル」とは、残業などを理由に勤務終了時間が遅くなった場合、翌日の勤務開始までに一定の休息時間を設ける(勤務開始時刻を遅らせる)といった制度を指します。本項目は努力義務とされているためペナルティなどはありませんが、今後の動きを注視したいポイントの一つです。

「割増賃金率」の中小企業猶予措置廃止

大企業には以前から適用され、中小企業は猶予措置が取られていた内容です。しかし、2023年4月からはこの猶予が廃止され、中小企業でも「1か月の残業時間が60時間を超えた場合」には、割増賃金の割増率を50%以上にしなければなりません。

日常の管理業務で求められる対応内容

働き方改革法の施行によって、社用車を管理するにあたっては、これまで以上により適正な管理方法が求められるようになります。例えば、「業務量は適正か」、「適切な休憩を取っているか」、「一部の従業員に過重労働が生じていないか」という点に加え、「社外における勤務状況」、「直行直帰といった勤務管理」を客観的に把握することが必要とされます。ここで、もしも望ましくない傾向があれば、直ちに是正する必要があります。

また、今回の法改正は、一般の従業員を管理する「管理監督者」の過重労働も抑制することも目的とされています。そのため、管理の手間が増えた結果、管理者の負担が必要以上に増加することがないよう、これまで以上にムリ・ムラ・ムダをそぎ落とした業務プロセスが求められることも事実です。

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例えば、車載機による精度の高い位置情報や走行ログデータをもとに自動作成される日報・月報は、訪問先や滞在時間、移動時間などが自動で記録され、管理者がドライバーの全員分の一括印刷することもできます。業務終了後に手書きで作成した手間がなくなります。
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