企業によって社用車の所有台数には違いがあり、営業車だけの場合もありますし、現場作業のある会社では現場用の社用車も必要になってきます。企業には必須の社用車ですが、近年では購入よりもリースにて社用車を調達する会社が増えています。そこで、社用車は購入とリースどちらがお得なのかを、比較しながら解説します。
2-1.メリット1:いつでも手放すことが可能
2-2.メリット2:車検の時期をコントロールできる
2-3.デメリット1:各車の点検時期の管理が必要
2-4.デメリット2:減価償却など事務管理も必要
2-5.デメリット3:資金調達も必要
2-6.デメリット4:処分する車両を選ぶ必要がある
2-7.デメリット5:各車両の任意保険を把握しておく必要がある
3-1.メリット1:車検やメンテナンスの管理がラク
3-2.メリット2:任意保険の更新を気にすることがなくなる
3-3.メリット3:資金調達の苦労がなくなる
3-4.メリット4:車両にかかわる毎月の費用が固定となる
3-5.メリット5:リース会社に相談できる
3-6.デメリット1:支払い総額が多くなる
3-7.デメリット2:中途解約の場合は違約金が発生する
3-8.デメリット3:走行距離制限付きリースプランもある
4-1.車両の使用頻度が高い会社
4-2.資金に余裕のある会社
4-3.各部門が充実している会社
5-1.車両の利用用途や走行範囲が決まっている会社
5-2.資金に余裕がない会社
6-1.車両管理における比較表
6-2.コスト管理はカーリースがベスト
6-3.リスク管理もカーリースがベストとなる
法人向けのカーリースは、リース会社が車両を調達して会社にリースする方法です。リース会社と会社とで協議を行って、会社が希望する車両を調達するので、会社としては欲しい車両を利用できます。法人向けのカーリースには「ファイナンスリース」と「メンテナンスリース」の2種類があります。
ファイナンスリースは「車両本体+リース期間中の自動車税」を含んだリース契約のことです。初回の車検までの自賠責保険や重量税は、リース代に含まれますが、有料の法定点検や車検代、車検時に交換が必要なオイル交換、タイヤ交換などの料金、重量税や自賠責保険は含まれないので、必要な都度支払う必要があります。つまり、車両本体をリース会社に購入して提供してもらい、リース会社に月々の支払いを行なうことと同じ要領となっています。
メンテナンスリースは、リース期間中に発生する車両にかかる税金、自賠責保険、重量税、車検、法定点検、交換が必要なオイル、タイヤなどの損耗品など、車両を安全に維持するためのメンテナンス費用が全て含まれるリース契約です。当然ながら、先のファイナンスリースよりも費用は高くなってしまいますが、リース側にはそれなりのメリットがあります。なので、カーリースにて車両を調達する場合は、このメンテナンスリースが多く使われています。
ここでは、社用車を購入するとどのようなメリットがあるのか、逆にどのようなデメリットが発生してしまうのかを解説します。
社用車を購入すれば、自社の所有物となりますから、事業を縮小する際に余分な社用車を自由に処分できます。購入なら社用車の台数をコントロールして、車両管理が楽になります。
社用車を維持するには、車検を受ける必要があります。初回の車検前に社用車を売却して、新しい社用車に変えることもできますし、車検期限の残った中古車を購入、もしくは車検受けで中古車を購入すれば、車検の時期をコントロールできます。
複数の社用車を購入にて管理する場合、法定点検の時期、車検の時期を把握して、その時期には該当の車両を利用しないように社員に通達しなければいけません。また、点検工場へ持ち込みする場合は、その手配をする必要があり、車両数が多ければそれだけ管理も煩雑になってきます。
社用車を購入した場合は財産となるので、減価償却計算が必要となるので、事務的な車両管理が必要となってしまいます。これも車両数が多くなるほど、管理が面倒になってきます。
車両を購入する費用や維持するためのメンテナンス費用など、資金調達が必要となるのも、購入時のデメリットになってしまいます。
社用車を購入した際には、いつでも処分できるメリットがありました。ただ、車両が複数台ある場合は、どの車両を処分すべきか検討する必要が生じます。単に、使用年数だけでなく、次回の車検までの期間、エンジンの不調、走行距離など、各車の状況をチェックしないといけません。それだけ車両管理に、手間がかかるということになってきます。
車両を保有するプラス、任意保険に加入する必要があります。これは社用車に限ったことでなく、車両を保有する全ての会社や個人に必要なことです。ただ、会社で数十台の車両を購入していた場合、各車両の任意保険の手続きをそれぞれ行なう必要がるので、加入保険のタイプ、満了月をしっかり管理しなければいけません。
放置しておくと、無保険車となって事故を起こした時に大変なことになってしまいます。
次にカーリースにて車両を調達した際の、メリットおよびデメリットについて解説します。カーリースの場合はメリットが多くあるので、カーリースを採用する会社が増えていると推測できます。
メンテナンスカーリースの場合、法定点検や車検など車両のメンテナンスに関することは、全て知らせてもらえますし、費用もリース代に含まれているので管理が容易になります。
管理台帳を作成して複数台の車両を管理する手間から開放されるのは、大きなメリットです。
カーリースでは自賠責保険だけでなく、任意保険の加入も含まれるプランもあります。このようなプランのカーリースなら、各車両の任意保険を管理する手間が省けます。車両が数十台と多い場合は、各車両の任意保険を管理するのも一苦労です。その苦労から開放され、保険切れを起こさずにいられるのは嬉しいことです。
社用車を購入する場合は、その費用を調達する必要があります。また、メンテナンスにかかる費用もその都度、調達しなければいけません。カーリースの場合だと、車両の購入費、点検、車検などの費用が、全てリース代に含まれるので、大きな費用を調達する必要がなくなります。もしも、一括購入でなくローンで社用車を購入するなら、カーリースの方が断然お得になってきます。
車両を購入した場合だと、車検時にタイヤ交換などが必要な場合、予定外の出費が必要となります。また、使用中の故障などに対しての臨時の出費が必要なケースもあります。メンテナンスカーリースの場合だと、一般的な修理は無料となるケースが多いので、臨時の費用は発生しません。このように、カーリースで車両を調達しておけば、車両にかかる費用はリース代のみとなるので、コスト管理が簡単になってきます。
社用車を購入する場合は、社内で検討して購入に至る場合がほんどです。一方でカーリースの場合は、リース会社に相談できて、自社にベストなタイミングやリースプランを提案してくれるので、とても心強いでしょう。
いいことばかりのカーリースですが、デメリットも存在しています。
カーリースの場合は何かと便利な代わりに、支払い総額が購入時よりも多くなってしまいます。ただ、点検・車検・メンテナンスなど全て込みとなり、車両管理全般が容易となってくるので、ここは会社の捉え方にかかってきます。
購入した車両は、どのタイミングで売却しても問題ありませんが、カーリースの場合は契約途中で解約すると、違約金が発生する場合がほとんどです。そのためカーリースを契約する場合は、現在の業務規模と契約期間中の業務規模をよく検討しておく必要があります。リースしたけれど半年でほとんど車両を使わなくなったりすると、リース代がもったいないこととなってしまいます。
カーリースの使用条件の中に、走行距離制限があるプランも存在します。このプランでは、リース車両をどのように利用するか、管理する側の手腕が問われます。ただ、どのような業務にリース車両を使うのかが分かっていれば、リース会社と相談できるので大きな問題にはならないはずです。
カーリースにメリットが多くあるとしても、全ての会社が社用車をリース利用する訳ではありません。当然ながら、車両を購入する方がお得になる会社も存在します。そこで、社用車を購入することにメリットのある会社をまとめてみました。
カーリースには、走行距離制限が設定されているケースもあります。契約時に設定された走行距離を超えると、超過費用を請求されて最終のリース代が高くなってしまいます。営業範囲が広く走行距離が多いなど、車両の使用頻度が高い会社なら、カーリースよりも購入の方が使い勝手がよいです。
資金が潤沢にある会社なら、社用車を購入すれば減価償却費にできて、効率的な税務運用が可能です。このような資金運用をできる会社なら、社用車を購入した方がメリットとなります。
会社規模も大きく社内に車両管理部門がある会社や、経理部門でも余裕のある人員で、車両管理ができているなら、社用車を購入しても面倒ではなくなります。このような会社では、先の「資金に余裕のある会社」がほとんどなので、やはり社用車は購入した方がメリットは大きくなります。
先に解説した、社用車を購入する方がメリットのある会社は、多くありません。多くの会社で社用車は、カーリースを利用するケースがほとんどです。ここでは、カーリース利用に向いている会社の条件をまとめてみました。
営業範囲が限定的で、車両の利用用途や走行距離が読み取れる会社では、カーリースを利用するほうが便利です。例えば、営業ルートがいつも決まっていて、1日の走行距離がほとんど同じなら、年間の走行距離も把握できます。
となれば、リース契約内の走行距離を超えることがないので、超過料金は発生しません。また、現場利用はなく営業のみであれば、荒地に乗り入れて故障したり、パンクしたりするリスクがないので、カーリースが向いているといえるのです。
カーリースでは、購入時に大きな資金を必要としません。例えば、1台150万円の営業車が3台必要な場合だと、450万円もの費用が必要となります。資金に余裕のない場合だと、一括購入できなくて困ってしまいますが、カーリースを利用すれば450万円を用意しなくても、毎月のリース代のみで必要な営業車の調達が可能となります。
また、カーリースには点検や車検、税金や修理代も含まれるプランもあるので、購入時に必要となる車検などの費用負担を心配しなくてもよくなります。このようなことから、カーリースは資金に余裕のない会社に向いているといえるのです。
ここまで、社用車を購入した場合とカーリースした場合の違いや、それぞれのメリットとデメリット、各パターンに向いている会社について解説してきました。これらを踏まえた上で、車両管理上では購入とカーリース、どちらがベストなのかを比較しながらお伝えします。
項目 |
カーリース |
購入 |
---|---|---|
車両の選定 |
リース会社が提案 |
自社で選定 |
購入費 |
不要 |
必要 |
自動車税 |
リース代に含まれる |
都度支払いが必要 |
任意保険 |
リース代に含まれる |
都度支払いが必要 |
点検把握 |
リース会社から連絡 |
自社で把握※ |
点検代 |
リース代に含まれる |
都度支払いが必要 |
車検 |
リース代に含まれる |
都度支払いが必要 |
部品交換 |
リース代に含まれる |
都度支払いが必要 |
売却 |
契約満了時 |
いつでも可能 |
※購入したディーラーからお知らせがくるケースが多い
コスト管理に含まれる資産管理については、カーリースに軍配が上がります。
まず、車両購入時に必要となる多額の資金を必要としないので、確実に車両を調達できます。また、毎年必要となる税金や任意保険もカーリースなら、リース代に含まれるので忘れることがありません。
さらに、経年に応じてタイヤのローテーションや交換料も含まれるので、コスト管理においてはカーリースがベストとなります。
次にリスク管理にかかわる車の整備状況についても、カーリースが優位となります。比較表をみてお分かりのように、点検はリース会社から連絡が来て、確実に実施されます。タイヤの損耗の程度、エンジン内部の調子など、普段の日常点検では把握できない個所の点検を確実に行なうことで、安全な運行ができリスク管理が行なえます。
それも点検料がリース代に含まれるので、料金の心配なく行えることに理由があります。購入時では、無料点検以外では点検料が必要となるので「今のところ問題が無いので、有料点検はパスしよう」と考えるケースがあります。比較すると、定期的に点検している方が、リスク回避は高くなります。
社用車を何十台も抱えている会社では、各車両の任意保険の加入もリスク管理の重要な項目です。もしも保険が切れている状況で事故を起こすと、場合によっては会社の存在にかかわる賠償が求められるかも知れません。任意保険もリース代に含まれるカーリースなら、リース会社に任せることができて、リスク回避が可能となります。この点は、車両数が多くなればなるほどカーリースの方が優位となってきます。
近年では会社の社用車は、カーリースを使って調達しているケースが多く見られます。その理由は、車両を購入した際と比較すると、カーリースの方が便利であるからです。内容については、記事内で詳しく解説しているとおりです。
車両管理においても、コスト管理・リスク管理の両方で、購入よりもカーリースがベストとなっています。最終的な金額は購入時よりも高くなってしまうデメリットはありますが、会社にとっては便利なサービスが含まれるので、人気が高いのはうなずけますね。
パイオニアでは、法人向けの通信型ドライブレコーダーをラインアップ展開しています。車両管理システムビークルアシストと連携し事故削減・車両管理業務の効率化・営業生産性の向上をサポートします。
詳しくは下記ページやカタログをご覧ください。