企業が事業のために使用する自動車には事業用ナンバーを取り付けなければなりません。事業用ナンバーとは、運賃を取って製品を運ぶ業務や車両に人を乗せて運行する業務を行う際に必要となるナンバープレートです。トラックや軽自動車を使った運送業やタクシーやバスを使った旅客運送事業を行う時には、事業用ナンバーを取得する必要があります。
事業用ナンバーが必要であるにもかかわらず、一般の自動車と同じナンバーを付けたまま事業を行った場合、違反とみなされることもあります。しかし、企業が使用する全ての車両に事業用ナンバーが必要という訳ではありません。事業で車を使う時には、事業用ナンバーが必要か否かを必ず確認しておきましょう。
本記事では、事業用ナンバーとして使われる緑ナンバーと黒ナンバーの適用条件について紹介します。
3-1.緑ナンバーとは
3-2.黒ナンバーとは
3-3.その他のナンバー
4-1.緑ナンバーを取得する方法
4-2.黒ナンバーを取得する方法
自動車には必ずナンバープレートが取り付けられます。自動車に取り付けるものは「自動車登録番号標」という正式名称があり、軽自動車のナンバープレートは「車両番号標」と呼びます。自動車のナンバーには個々の車両を識別する働きがあります。ナンバープレートは車の前と後ろに付ける2枚が1組になっており、すべての車に違う番号が割り振られています。上部には地名と分類番号が、下部にはひらがな1文字と4つの一連指定番号が記載されているのが特徴です。自動車のナンバープレートの左上には封印と呼ばれる金具がつけられ、封印がされていなかったり破損していたりすると公道を走れません。
ナンバープレートの上部に記載される地名は住所の管轄区である運輸支局または自動車検査登録事務所の所在地です。上部に記される分類番号は車の種類や区分によって0ナンバーから9ナンバーまであります。
ナンバー |
区分 |
車の条件や違い |
1ナンバー |
普通貨物車 |
用途が貨物 |
2ナンバー |
普通乗合車 |
用途が人の運送かつ定員が11名以上 |
3ナンバー |
普通乗用車 |
用途が人の運送かつ定員が10名以下 |
4ナンバー |
小型貨物車 |
用途が貨物 |
5ナンバー |
小型乗用車 |
用途が人の運送 |
6ナンバー |
軽貨物車 |
用途が貨物 |
7ナンバー |
軽乗用車 |
用途が人の運送 |
8ナンバー |
特殊用途自動車 |
用途が特殊(パトカーや教習車など) |
9ナンバー |
大型特殊自動車 |
用途が特殊(フォークリフトなど) |
0ナンバー |
大型特殊自動車の建設機械 |
用途が特殊(ブルドーザーなど) |
自動車ナンバーの取得時に一定の費用を支払えば、一連指定番号の数字を指定することも可能です。一般自動車の申し込み時に誕生日などお気に入りの数字を指定する方は多いです。事業用ナンバーを取得する際に、事業内容を連想させるような数字を指定する企業もあります。
また近年では、自動車のナンバープレートに装飾を入れるご当地ナンバーの人気も高まっています。事業用のナンバーには、緑色や黒色が縁取りされているものが公布されます。ナンバーの申請時には、地域の名所や花、名物やキャラクターが入った華やかなご当地ナンバープレートを選ぶのも良いかもしれません。
参考:ナンバープレートの見方 - 東北運輸局 (mlit.go.jp)
公道を走る自動車には一般家庭で使われる自家用車の他に、企業が使用する事業用の社有車や営業車があります。営業車に取り付けるナンバープレートは、事業用ナンバーまたは営業ナンバーと呼ばれます。ただし、企業が使用するすべての車に事業用ナンバーを付けなければならないという訳ではありません。
例えば、商品や資料を乗せて顧客のもとを訪れる時に乗る車は事業用の車ですが、車に乗せるのは自社製品や自分の荷物のみです。賃金が発生しない貨物や荷物などを乗せる営業車には事業用ナンバーは必要ありません。事業用のトラックであっても、自社の製品のみを運搬するトラックは白ナンバーのまま走行可能です。
ただし、お客様からお金を受け取って荷物を運ぶ時や、運賃をもらってお客様を乗車させる時には事業用ナンバーの取得が必須です。具体的にはタクシーやバス、営業目的の貨物自動車などが事業用ナンバー取得の対象です。
事業用ナンバーの取得後には自動車税や自動車重量税、自賠責保険料の金額が変わります。また、車検や点検の期間も変わるので、自家用から事業用に切り替える際は注意しましょう。
事業用ナンバーと言えばタクシーなどに取り付けられる緑ナンバーを思い浮かべる方が多いかもしれません。自動車のナンバーには他にもいくつかの種類があります。
ここからは、自動車のナンバープレートの種類や違いについて解説していきます。
緑ナンバーは、緑地に白い文字で情報を記載したナンバープレートです。一般の自家用車は白地に緑色の文字が入っていますが、緑ナンバーはこれとは配色が逆になります。
緑ナンバーが取り付けられるのは、トラックやタクシーなどの営業車です。具体的には、運賃や報酬などのお金を受け取って人やものを運ぶ車両が当てはまります。緑ナンバーを取得すれば、運賃をもらって建築資材や雑貨類、青果類、輸出入貨物などのさまざまなアイテムを運ぶことが可能です。
車に乗せる運搬物が自社所有のものであれば白ナンバーを、そうでない時には緑ナンバーを付けるようにしましょう。
緑ナンバーの取得条件は、適切な立地に事業所があり、5台以上の車両を保有していることです。さらに、運行管理者を立てることや十分な事業資金を保有していることも緑ナンバー取得の条件です。これらの条件に満たない場合、緑ナンバーの申請をしても審査に通らないことがあるので注意が必要です。
法令では、産業廃棄物の運搬には緑ナンバーは不要とされています。しかし近年では産業廃棄物処理業者であっても荷主からの要請によって緑ナンバーを取得する例が増えています。
なお、緑ナンバーの車両に人を乗せて運ぶ時には第二種運転免許が必要です。緑ナンバーのバスやタクシーを第一種運転免許で運転した場合、違反となってしまうので気を付けましょう。
黒ナンバーとは黒字に黄色文字が入ったナンバープレートのことで、軽貨物運送業の車両に取り付けられます。一般の軽自動車は黄色地に黒い文字が入っており色合いが似通っていますが、軽貨物自動車のナンバーとは異なるので注意しましょう。
黒ナンバーを付ける貨物軽自動車運送事業とは、軽自動車で荷物を運んでお金を受け取る事業です。軽自動車で単に荷物を運ぶだけの仕事であれば白ナンバーの車で行っても問題ありません。ただし、荷物を運んで対価を得るケースでは黒ナンバーの取得が必須です。
黒ナンバーは、事業者が軽貨物車を1台以上保有しており、さらに営業所と休憩施設、車庫を保有している場合に取得可能です。さらに、運送約款を用意することや運行管理の体制を整えていることなども、黒ナンバー取得の条件です。
事業用ナンバー以外のナンバープレートには、白ナンバーや黄色ナンバーなどがあります。自家用車に乗る場合には、白地に緑色の文字を入れた白ナンバーを取得しましょう。一般の車のほか、商用車やパトカーにも白ナンバーが付けられます。
ただし白ナンバーを付けるのは普通自動車に限られており、軽自動車の場合は黄色ナンバーを付けなければなりません。黄色ナンバーは黄色地に黒い文字で情報が記されています。
他に、領事館や外交団用の青ナンバー、車検切れ車両や抹消登録済車両を運行する際に使うディーラーナンバー(赤斜線ナンバー)といった種類のナンバープレートもあります。
企業が事業用ナンバーを取得する際には、各エリアの運輸支局に申請をしなければなりません。特に、緑ナンバーの申請には多くの書類が必要となる上に、時間もかかります。
ここからは、事業用ナンバーの取得方法を具体的に説明していきます。
タクシーなどに取り付ける緑ナンバーは、取得にいくつかの条件があるので注意しましょう。
緑ナンバーの取得時に問われるポイントとして、運行管理者資格を持つ従業員の確保が挙げられます。車両維持費や従業員の給与を支払える資金力があるか否かについてもチェックされます。申請する車両の台数、営業所の立地、駐車場の有無など、一定の認可条件を満たしていなければ緑ナンバーを取得することはできません。
これらの条件を満たしていれば、緑ナンバー取得のための役員法令試験を受験できます。法令試験は奇数月に実施されており、法人の場合は常勤の従業員1名が、個人事業主の場合は本人が合格することで緑ナンバーの取得が認められます。
試験合格後には新規営業許可の審査を受けましょう。また登録免許税の納付、管理者の選任といった対応も必要です。審査や手続きには4カ月前後の時間がかかりますが、運輸支局から許可が下りれば晴れて事業用ナンバーでの営業を開始できます。
参考:トラック関係 - 近畿運輸局 (mlit.go.jp)
黒ナンバーを取得すれば、企業が所有する車を貨物車両として活用することが可能です。
まずは管轄の運輸支局に必要書類を提出しましょう。黒ナンバー申請に必要となるのは貨物軽自動車運送事業経営届出書や事業用自動車等連絡書、運賃料金表、車検証などです。
書類が無事に受理されたら、続いて軽自動車検査協会に事業用自動車等連絡書を提出します。不備がなければ黒ナンバーを取得できるので、これを車両に取り付けて事業を開始しましょう。
参考:関東運輸局 東京運輸支局:軽貨物手続きフロー新規等 (mlit.go.jp)
事業用ナンバーが必要となるのはトラックを使った運送業務、タクシーやバスを使った旅客運送事業などです。事業でこういった車を使う時には、事業用ナンバーを取得しましょう。ただし企業が使う車両であっても、事業用ナンバーが不要なケースもあります。
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