物流業界の需要が高まる昨今、ロジスティクスに取り組み始める企業も増えてきています。ただ、具体的な意味や仕組みについてよく分からないという方も多いでしょう。また、似たような言葉で「物流」が使われることもありますが、両者の違いは何なのでしょうか。 本記事では、ロジスティクスについて詳しく解説するとともに、物流との違いやロジスティクスの役割や正常化のために必要なことなども併せて紹介します。
4-1.在庫の最適化と生産ロスの回避
4-2.コスト削減
4-3.営業支援
5-1.需要を分析する
5-2.在庫をコントロールする
5-3.物流システムを構築する
7.ロジスティクスにおける物流の正常化には運行管理サービスの導入が有効
ロジスティクスとは、原材料の調達から生産、物流、販売までの一連の流れをボーダレスに管理し、需要と供給のバランスを最適化することを言います。例えば、ある製品を作るにあたり、原材料の調達や生産活動が効率よく稼働していても、輸送に関わる人員手配がスムーズにできなかったり在庫の量が適正量でなく廃棄せざるを得なくなったりすると、事業全体で見たときにきちんと利益を得られません。
ロジスティクスの導入によって部分管理から全体管理に移行できれば、上記のような機会損失を防止でき、売上の向上につながるでしょう。また、欲しい時に在庫がそろっていれば、顧客満足度の向上も期待できます。
さらにロジスティクスは、企業活動における安全対策や環境保全などに対する経営管理を含む意味合いとして使われることもあります。つまり、企業活動におけるロジスティクスとは、企業活動全体が総合的に最適化されることを指すのです。
ロジスティクスは元々軍事用語として使われてきた言葉です。戦争の際、武器や燃料などの軍事物資や食料などを計画的に前線に補給することをロジスティクスと呼んでいました。
前線に十分に武器や燃料、食料が届かなければ、士気の低下につながります。逆に武器や燃料、食料などを前線に送り込みすぎると移動に時間がかかり、かえって足手まといになる可能性もあるでしょう。
このように、必要なときに必要な分だけを計画的に補給するという一連の活動が、ロジスティクスの語源なのです。
物流とは、生産地から消費地まで特定のモノやサービスを移動させるプロセス活動を意味します。英語ではフィジカルディストリビューション(Physical Distribution)と表記され、輸送だけではなく倉庫での保管なども含まれますが、あくまで消費者に届くまでの1工程です。
物流は、生産物流・販売物流・消費者物流など対象とする領域を限定して使われる言葉でもあります。
ロジスティクスと物流は一見似ているようにも思え、実際同じ意味として使われるケースも少なくありません。
しかし、ロジスティクスはモノづくりにおいて、スタートからゴールまでの全てのプロセスや適正量を管理するという視点を持っています。一方、物流はモノやサービスをスタートからゴールまで輸送・在庫・流通させる活動という視点を持っており、この点が両者の大きな違いです。
つまり、物流はロジスティクスに管理される立場であり、ロジスティクスを構成する一つの要素といえます。
物流を見直して商品の流れをスムーズにすることも大切ですが、ロジスティクスを導入し、物流の前後過程も含めてトータルで効率化を図れれば、より企業のパフォーマンスを高めることもできます。
ロジスティクスはモノやサービスを適切に流通・消費させるために大切なものですが、具体的にはどのような役割を持つのでしょうか。
ここからは、ロジスティクスが持つ役割の中でも特に重要な下記の3つの役割について詳しく解説します。
ロジスティクスの1つ目の役割が、在庫の最適化と生産ロスの回避です。需要があるにもかかわらず在庫が足りない、原材料の調達ができず商品の生産がストップしてしまうといったことは企業活動において珍しくありません。しかし需要があるにもかかわらず対応ができない状況は、利益の損失や顧客満足度の低下につながるため企業としては避けたいです。
また需要があるからといって生産量を増やして在庫を増やし過ぎた場合、需要に対して供給がオーバーしてしまい、余剰在庫となってしまいます。余剰在庫が増えすぎと無駄なコストがかかってしまうため、これも避けたい状況です。
ロジスティクスが上手く機能すれば、調達から販売までの生産量を最適化し、余剰在庫をなくしながら在庫不足や品切れに陥らないようにすることができます。
2つ目の役割がコスト削減です。物価高の高騰が続く昨今、多くの企業ではコストの削減が大きな課題となっています。
例えば、需要の推移を誤って予測して商品を過剰生産してしまった場合、商品にかかるコストだけでなく商品を生産するための人件費も余計に発生します。さらに、在庫を倉庫に保管する場合は、倉庫で保管するためのコストも見積もらなければなりません。
全てが定価価格で販売しきれれば良いですが、在庫を減らすために値引き販売をしたり廃棄せざるを得なくなってしまったりすると、利益の損失にもつながるでしょう。
ロジスティクスは、このような余計なコストを削減するためにも大きな役割を果たします。ロジスティクスを活用すれば、今後の需要をより正確に推測でき、余分なコストの削減にも大きな役割を果たします。
ロジスティクスで物量をコントロールできれば、将来にかかるコストの予測もしやすくなるため、良好な会社経営にもつながるでしょう。
3つ目の役割が営業支援です。企業によっては、在庫管理業務を営業部門が行っているケースも少なくなく、在庫管理業務が営業活動の妨げとなる場合もあります。また本来であれば、物流の現場で管理者が在庫管理を行う方が正確な在庫管理ができるでしょう。
ロジスティクスが確立され適切に機能している企業では、在庫管理は専門の部署やシステムが行います。営業部門が在庫管理をすることはなくなり、本来の営業活動に専念しやすくなります。専門部署やシステムで正確な在庫量を把握でき、過去の取引データなどと紐づければ、企業独自の物流ノウハウが蓄積できるでしょう。
ロジスティクスがどのようなものであるかを理解しても、実際にロジスティクスを正常に機能させることは容易ではありません。
ここからは、ロジスティクスを正常に機能させるため、特に重視すべき3点を解説します。
1つ目が需要を分析することです。企業が売りたいと考える製品やサービスが市場でニーズがあるものとは限りません。むしろそこにはズレがあると考えるほうが自然でしょう。
ロジスティクスでは市場の需要を分析し、需要に即した製品やサービスを提供する必要があります。このような考え方はマーケットインと呼ばれ、ロジスティクスを正常に機能するために不可欠な考え方です。
利益の向上に注力すべきですが、前提としてまずは消費者の目線に立つことが大切です。
2つ目が在庫をコントロールすることです。ロジスティクスが正常に機能している場合、在庫は適正に管理されているものです。在庫を過不足なく適正に管理することで不利益の発生を抑えます。
在庫を適正に保つためには、物流が全体的に統括されていることが不可欠です。原材料の調達から生産まで、一貫してスムーズに物資を移動させる仕組みづくりが求められます。
3つ目が物流システムを構築することです。どれだけ需要がある製品やサービスを生産しても、提供できるタイミングにズレが生じてしまうと売り上げは伸びず、在庫を抱えやすくなります。
適切なタイミングで製品やサービスを提供するためには、綿密な計画のもと生産や輸送を行うことが必要です。全ての工程を人の力だけで動かそうとするのではなく、時にはロジスティクスの正常化に役立つシステムの導入も必要となるでしょう。
ICTの発展やEC通販の普及などにより、国内外を問わず物流の需要は高まる一方です。この動きは今後も続くことが予想され、ロジスティクスの重要性もさらに増していくでしょう。
物価の高騰、少子高齢化による人手不足の問題やワークライフバランスの重要性など課題はあるものの、それぞれの課題に応えるべくシステム整備やIT化は進んでいます。このように、物流業界全体でさまざまな課題に前向きに取り組むことができれば、ロジスティクスの将来性は十分にあると考えられます。
ロジスティクスを正常に機能させて企業の利益を上げるためには、人の手だけでは限界があります。そこでおすすめしたいのが、運行管理サービスの導入です。
例えばクラウド型運行管理サービスである、パイオニア株式会社のビークルアシストの場合、リアルタイムで各車両の位置情報やステータス情報を把握できるため、高度な運行管理が可能です。物流を可視化することで運行業務の無駄をなくし、生産性の向上を図ります。
また、コース作成機能により移動時間が短い最適なルートを提案し、燃費の向上につなげるだけでなく、いち早く取引先や消費者のニーズに対応することが可能となります。
詳しいサービス内容が3分で分かる資料ダウンロードも行えるので、ロジスティクス整備の一環として社用車の運行管理システムに興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。