豪雨や台風を始めとする自然災害が相次ぐ昨今、車両を使った業務の安全管理のあり方にも変革が求められています。交通インフラが麻痺する中で、被害やトラブルを最小に食い止め、事業継続を維持するためには「迅速な状況把握」と「的確な対応」が欠かせないためです。では、そこで求められる管理方法はどんなものなのか、「クラウド車両管理」という打ち手と合わせてご紹介します。
■自然災害時、安全運転管理者に求められる役割
・現場の状況把握を迅速に行うこと
・的確な初動対応を実行すること
■クラウド車両管理がもたらすメリット
・車両位置の即時把握
・ドライバーの状況に応じた業務指示
■初動のあり方が早期復旧にもつながる
自然災害の発生は予測が難しいからこそ、「災害が発生してからの初期対応」は被害を減らすための重要な鍵とされています。
例えば、2018年に発生し、震度7を記録した北海道地震では、多くの車両が大規模停電に伴う渋滞に巻き込まれたといわれています。また、東北や関東甲信を中心に記録的な大雨をもたらした令和元年台風第19号では、水没車両の救援要請も相次ぎました。このような事態に巻き込まれたとき、現場のドライバーを守るために求められるのは、「安全運転管理者」による的確な判断と指示です。
では、具体的にどのような対応が必要になるのでしょうか?
1つ目は、各車両がどこで、どのような状況にあるのか、迅速に把握することです。ここでの最優先事項としては、ドライバーの安否確認が挙げられます。災害時には電話が通じないケースも考えられるため、社内のルールとしてどのような手段で安否確認を行うか、あらかじめルールづくりをしておきましょう。
加えて、車両の状態の確認も欠かせません。社用車が二次被害に巻き込まれないためにも、車両が正常なのか確認するための手順を決めておくことが必要です。もちろん、自然災害が起こったとしても、交通インフラが正常に機能しており、かつ被害が小さければ、業務を継続するケースも考えられます。そのような場合にも備えて、1台1台の車両が業務継続可能な状態にあるか、早期に把握するための仕組みを整えておくことが大切です。
2つ目に行うべきは、危険箇所を迂回したルートの策定です。大雨に伴う水害が予想されるようであれば、電車のガード下の道路といった高低差のあるルートは避けなければなりません。千葉県津波避難計画策定指針では、浸水深(=水面から地面までの深さ)が30~50cmあると、「エンジンが停止し、車から退出を図らなければならない」と説明されています。水たまりでエンジンが停止し、そのまま立ち往生、という事態を防ぐためにも、大雨が起こった際には安全なルート選びが欠かせないのです。
事前に行える自然災害対策としては、既に多くの企業で実施されている「ハザードマップの作成」が挙げられるのではないでしょうか。通行ルート周辺の危険個所をあらかじめ可視化し、ドライバー間で共有することは一定の効果があるといえます。しかし、ハザードマップ自体を定期的に更新する手間もかかるうえ、経験が浅いドライバーは危険個所を十分に把握できない恐れもあります。だからこそ、安全運転管理者による状況把握と初動対応が欠かせません。
近年、安全運転管理者を中心とした自然災害対策の体制を整える上で、多くの企業に採用されているのが「クラウド型の通信型ドライブレコーダー」です。
クラウド型の通信型ドライブレコーダーを利用すれば、営業車両や配送車両の「リアルタイムでの位置把握」が可能になります。インターネットに接続したパソコンやタブレットでも車両の位置を確認できるため、管理の手間を最小限にとどめつつ、効率的な車両管理を行うことができます。
自然災害の発生時には、主に次の2つの点で効果を発揮します。
GPSを搭載した通信型ドライブレコーダーを活用すれば、リアルタイムに車両位置を把握することが可能です。危険な状況にある車両への対策だけでなく、たとえ大きな被害が予想されなくても「ルートAでは渋滞に巻き込まれる可能性があるから、ルートBを検討しよう」といった対応が可能になるでしょう。また、万が一事故に巻き込まれていてドライバーから連絡ができないようなときも、安全運転管理者が状況を把握できていれば、被害を最小化する次の一手を講じることができるはずです。
自然災害に巻き込まれた現場のドライバーの立場から考えると、災害の規模や危険地域など不足している情報が多く、的確な判断が下せないことが予想されます。そのため、このまま業務を継続すべきか、業務を中断して避難を最優先すべきか、判断がつかないことも多々あります。
このようなときに通信型ドライブレコーダーを活用すれば、安全運転管理者が「現場の状況」と「自然災害の影響」を鑑みた的確な判断・業務指示が可能です。
このようにクラウド型の通信型ドライブレコーダーは、安全運転管理者が現場の状況を把握し、的確な指示を行う用途に適しています。こういった仕組みの活用に加えて、自然災害時の対応方法を周知徹底することで、自然災害に伴う経営・事業上のリスクを最小化できるはずです。
BCP(事業継続計画)の一つの側面としては、有事の際に被害を最小化することが挙げられます。そして、もう一つの側面が、被害が生じた後の「復旧を早期化」することです。ここでもクラウド型の通信型ドライブレコーダーが重要な役割を果たします。
例えば、大規模な地震が起こった際には、揺れによる直接的な一次災害だけではなく、「ライフライン寸断」や「車中泊によるエコノミークラス症候群」といった二次被害が発生する恐れがあります。このような事態を防ぐためにも、状況把握と対応指示を早期に行うことが重要となります。
パイオニアでは、業務用の「クラウド型通信型ドライブレコーダー」を始めとする業務車両向けソリューションをご提案いたします。ドライバーの安全を確保し、事業継続を維持するためのソリューションをお探しの事業者様は、お気軽にお問い合わせください。