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「ながらスマホ」厳罰化後の実情。いま、企業が検討すべき対策とは

緊急事態宣言の解除後、車での移動やマイカー出勤が増加傾向にある中、交通安全対策がより一層求められています。同時に、新たな日常が始まる中では緊張の緩みにも注意が必要です。例えば「ながらスマホ」といった違反行為。社用車を利用する企業としては、従業員による事故を回避するために新たな対策が必要になります。では、具体的にどのような対策が有効か、考えてみましょう。

【目次】

■事故の多発を受け、取り締まりが強化された「ながら運転」
■「ながら運転」の定義は若者に浸透していない?
■「ながらスマホ」の事故が多発していた原因とは
■「ながらスマホ」防止のための対策例
■時代に合った継続的な安全運転対策を

事故の多発を受け、取り締まりが強化された「ながら運転」

2020年4月に発表された警視庁のまとめによると、ながら運転に対する警察の取り締まり件数は、2019年12月の罰則強化後3ヶ月間で前年同期比62.5%減少(17万2465件⇒6万4617件)したことがわかりました。

この背景にあったのが、スマートフォンの普及に伴う「ながらスマホ」の社会問題化です。罰則が強化される以前のデータを見ると、この十数年で携帯電話にまつわる交通事故件数は倍増し、年間3,000件に迫る勢いでした。そして、携帯電話の使用にまつわる事故では、死亡に至る比率も約2.1倍(平成30年時点)と発表されており、人々の命を奪う極めて危険な行為であることがわかります。

このような実態を踏まえて、法改正後には警察の取り締まりも急速に強化されています。しかし、常に肌身離さずスマートフォンを持ち歩く現代人にとっては、最も犯してしまいがちな違反行為であることは変わりありません。

また、2020年1月に行われたある意識調査では、ながら運転に対する若い世代の認知度の低さが明らかになっています。

「ながら運転」の定義は若者に浸透していない?

小学館が運営するWebメディア @DIMEアットダイムが行った「ながら運転・ながらスマホの定義」についての意識調査(*1)では、「ながら運転」の定義を理解している人の割合が世代別に示されました。全世代の平均値が9.6%、正答率第1位の40代男性が12.7%だったことに対して、最下位の20代男性では正答率7.3%という結果になりました。*1. 2020年1月に実施。20~60代以上の自動車の免許を持つ男性750名を対象。

年齢層が低いほど法改正への関心が低い傾向がある点は、それほど驚くべきことではないかもしれません。しかし、こうした結果を踏まえると、若い世代にながら運転の周知を図ることは一つの課題といえるでしょう。

社用車を扱う企業の立場からすれば、この状況と十分に向き合う必要性があります。企業の一員としてハンドルを握る以上、当然のごとく全従業員に法令順守が求められるためです。企業は従業員に対して、法律に関する教育を施すのみならず、「何故、ながら運転は危険なのか」という事実を踏まえ、事故の削減・防止に向けた指導を行っていく必要があります。

では何故、ながら運転がこれほど社会的に問題視され、危険な行為とされてきたのでしょうか。

「ながらスマホ」の事故が多発していた原因とは

ながら運転が社会問題化した背景にあるのは、携帯電話使用に係る交通事故件数の多さです。

警察庁の発表によると、2018年中に発生した携帯電話使用に係る交通事故件数は2,790件と発表されており、この数値は過去5年間で約1.4倍に増加しています。また、携帯電話使用等の場合には、使用なしの場合と比較して死亡事故率が約2.1倍となっています。

このような事故増加の背景にあるのが、人々のスマートフォンに対する利用特性です。

内閣府が2017年に行った「運転中の携帯電話使用に関する世論調査(*2)」における「運転中に携帯電話を使用したことがあると答えた方(n=698人)」を対象とした設問への回答を見ると、人々がスマートフォンをどのように利用しているかを垣間見ることができます。

ここでは、上位4項目として次の回答が見受けられます。

・かかってきた電話や通信アプリによる音声通話に出るため(47.7%)
・メールや通信アプリで受信したメッセージなどを確認するため(44.8%)
・かかってきた電話や通信アプリによる音声通話の発信元を確認するため(44.7%)
・カーナビゲーションとして使用するため(21.8%)

この傾向を見ても、人々の注意力が頻繁にスマートフォンに奪われていることがわかります。企業の経営者・管理者はこの実態を踏まえ、従業員が社用車を利用する際のルールを定め、運用していくことが必要でしょう。

*2. 全国18歳以上の日本国籍を有する者3,000人を対象。有効回収数1,911人。

「ながらスマホ」防止のための対策例

では、「ながらスマホ」を防止するためには、どのようなルールを設ければよいのでしょうか。

まず大原則として、従業員が運転中にスマートフォンを利用する際には、安全な場所に停車した上で通話をしたり、メッセージ確認をしたりすることを徹底させましょう。そのうえで、スマートフォンを確認する必要性を極力減らせるような環境づくり・仕組みづくりに注力することが大切です。

「スマホ依存症」というほど深刻ではなくても、スマートフォンの通知を常に気にかけ、画面をチェックしていないと不安になってしまう人は多いものです。また、通知があると即座に反応してしまい、ついスマートフォンに手を伸ばしてしまう人も多いはず。

運転中のスマホ操作は法令違反と頭で理解していても、スマートフォンのチェックが習慣になっていると、思わぬ事故を誘発してしまうのです。こうした事情を踏まえて、運転中はスマートフォンのドライブモードを設定し、着信音が鳴らないようにする、といったルールを設けることが大切でしょう。

そして、最も管理者が配慮すべき点は、従業員が運転に集中できる環境をつくること。業務連絡をしたい場合、運転中と思われる時間帯には電話で連絡をせず、停車できるタイミングで電話するようにメッセージを残すようにしましょう。

そのほか、運転自体に不安がある従業員や、土地勘がない場所を走ることが多いケースには、積極的にカーナビを導入し、運転中の迷いを予め排除しましょう。運転中にスマートフォンに依存しない環境をつくることが極めて重要です。

時代に合った継続的な安全運転対策を

様々な安全運転対策がある中でも、大切な視点は継続性にあります。安全運転意識をずっと持ち続けるのは難しく、人は誰でも気の緩みが起こります。一時的な注意喚起だけでなく、各個人の運転傾向に合わせて注意を行い自分ごと化させることが大切です。

パイオニアのビークルアシストは、今回ご紹介した「ながら運転・ながらスマホ」の対策としても活用できるツールです。通信型ドライブレコーダーは各個人の危険運転を可視化できることから、ながら運転をしてしまう従業員の早期発見にも有効なのです。例えば、急ブレーキや急ハンドルなどが多い場合には注意力が散漫になっていることが考えられるため、ながらスマホの疑いがあるといえるでしょう。

また、各従業員が「今、どこで運転しているのか」を管理者が一目で把握できたり、一日の運転軌跡が自動で記録されたりすることもメリットの一つ。この機能を活用すれば、ドライバーに業務報告をさせる手間を省くことができ、運転に集中する環境をつくることもできます。

あらためて、効果的な安全運転指導を検討したいとお考えの企業様は、ぜひ次のホワイトペーパーのご一読をお勧めします。