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BCP対策とは? 必要性や策定方法をわかりやすく解説

BCP対策とは、緊急事態時でも企業が継続的に事業を継続・展開できるよう、あらかじめ備えをしておくことです。どんな状況でも、社会的な信用を維持していくために必要な施策の一つです。 本記事ではBCP対策の意味や必要性、具体的な策定方法について解説します。実施するときのポイントも紹介するので、これからBCP対策を立案しようと考えている企業の担当者の方は、ぜひチェックしてください。

目次

1.BCP対策とは事業を継続できるように準備しておくこと

2.BCP対策が必要とされる3つの理由

2-1.従業員の命や健康を守るため
2-2.社会的な信頼性を高めるため
2-3.不透明な社会に対応するため

3.企業がBCP対策を実施するメリット

3-1.経営基盤や組織体制を強化できる
3-2.自社の問題点を把握できる
3-3.社会貢献につながる

4.BCP対策の策定方法を5つのステップで解説

4-1. BCP対策を実施する目的を明確にする
4-2. 対応すべきリスクを把握する
4-3. 優先して守るべき業務内容を明確にする
4-4. 対応すべきリスクに優先順位を付ける
4-5. リスクへの具体的な対応策を考える

5.BCP対策を実施するときのポイント

5-1.全従業員へ共有する
5-2.状況に応じて改善する
5-3.社外とも連携する

6.まとめ 

 

BCP対策とは事業を継続できるように準備しておくこと

BCPBusiness Continuity Planning)対策とは、大きな事故や自然災害が発生したときでも事業を継続できるよう、さまざまな準備をしておくことです。事業継続計画とも呼ばれ、企業のリスクマネジメントの一つとして注目されています。 
BCP対策では、地震や台風といった自然災害、サイバーテロやシステム障害といった人的災害が発生したとき、被害を可能な限り抑えつつ素早く復旧して事業を継続することを目指します。
日本では、2011年の東日本大震災や2019年以降の新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、BCP対策が重要視されるようになりました。具体的には、重要なデータのバックアップや安否確認のフロー構築、緊急時のマニュアル策定など、幅広いBCP対策が重要視されています 

BCP対策が必要とされる3つの理由

BCP対策が必要な理由は、従業員の命や健康を守ること、社会的な信用を維持すること、不透明な社会に対応することの3つが挙げられます。それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。

1. 従業員の命や健康を守るため

いくら魅力的な事業を展開していても、従業員がいなければ会社の存続は難しいです。そのため自然災害や事故が起きたときに従業員の命や健康を守ることは、BCP対策の中でも特に重要視されています。
またBCP対策を立てておくことで、従業員が安心して働けるようになります。従業員を大切にしている気持ちが伝われば、仕事へのモチベーションアップや帰属意識が高まることも期待できるでしょう。

2. 社会的な信頼性を高めるため

BCP対策の実施は、企業の社会的な信頼性の向上につながります。企業の価値は、提供している商品やサービス、売上だけによって決まるわけではありません。人気のある商品を開発しても、儲けることだけを考えていたり劣悪な環境で従業員を働かせたりすると、社会的な信頼性はどんどんと低下します。
BCP対策を立てることは、商品やサービスを安定して提供できることや、従業員を大切にしている企業であることなどのアピールにつながります。商品やサービスに対する愛着を促すとともに、安心して働ける企業であると伝われば、優秀な人材の確保も期待できるでしょう。

3. 不透明な社会に対応するため

BCP対策は不透明な社会に対応し、企業として生き残っていくためにも重要な施策です。地震や台風といった自然災害だけではなく、テロやサイバー攻撃、労働災害など、現代社会にはさまざまなリスクが潜んでいます。システム障害や重要データの破損など場合によって、事業がストップしてしまう可能性もあるでしょう。
事業が継続できなくなれば社会的な信用の低下はもちろん、取引先離れや優秀な人材の流出などが起こるかもしれません。損失が大きくなると最悪の場合、企業が倒産する可能性もあります。こうした被害の影響を抑えつつ成長を続けるためにも、BCP対策を講じておくことが大切です

企業がBCP対策を実施するメリット

BCP対策を実施することには、経営基盤を強化できる、自社の問題点を把握できる、社会貢献になるなどのメリットがあります。それぞれの具体的な内容を見ていきましょう。

経営基盤や組織体制を強化できる

経営基盤や組織体制の強化は、BCP対策を実施する大きなメリットの一つです。しっかりとした組織体制を構築しておけば、大きな事故や災害が発生したときも、従業員が迷うことなく適切な対応ができます。逆に事象が起きてから対応策を検討するとなると、かえって被害が大きくなってしまう可能性も否定できません。
BCP対策の実施によって、従業員間の安否確認フローを整えたり、緊急時の対応マニュアルを作成したりすれば、経営基盤と組織体制を強化できます。事故や災害が発生したときでも、素早く対応して事業を継続できるでしょう。経営基盤や組織体制の強化によって、日常的な業務の効率化やチームワークの向上も期待できます。

自社の問題点を把握できる

BCP対策を立てるときは、自社の問題点を把握した上で必要な準備をしなければなりません。そのためには、重要なデータがバックアップされていない、ネットワークの脆弱性がある、従業員間の連絡体制が整っていない、といった問題点をしっかりと把握する必要があります。
問題点を把握して解決策を考えれば、BCP対策につながるだけではなく、普段の仕事を効率化したり、従業員同士の競争力を高めたりすることも期待できます。またBCP対策を実施することで、自社の強みを知ることも可能です。強みと弱みの両面の把握で、適切な事業戦略を立案することもできるでしょう。

社会貢献につながる

BCP対策の実施は、社会貢献の側面もあります。事故や自然災害が発生したとき、商品やサービスの提供を継続できれば多くの人々や関係企業を救えるかもしれません。特に電気や水道、交通や通信といった社会インフラを提供する企業の場合、BCP対策の重要性は高いです。
インフラ系以外の企業でも、例えば備蓄していた食料や飲料水を提供する、帰宅困難者に一時的な避難場所を提供するといった形での社会貢献も可能です。BCP対策は、自社のためだけに実施するものではありません。社会的な責任なども考えながら実施することで、企業全体の信頼性が高まるでしょう

BCP対策の策定方法を5つのステップで解説

実際にBCP対策を立てるときは、実施の目的を明確にする、対応すべきリスクを把握する、優先的に守るべき業務を明確にする、リスクに優先順位を付ける、具体的な対応策を考えるという5つのステップで進めましょう。以下、それぞれの段階におけるポイントを詳しく解説します。

1. BCP対策を実施する目的を明確にする

まずは、BCP対策を実施する目的を明確にすることが重要です。目的や目標を設定せずに進めても、意味のあるBCP対策は策定できないでしょう。企業理念や経営方針といった根幹にある考え方を再確認し、何をどのように守っていくかを把握しなければなりません。
例えば、従業員だけではなくその家族や地域住民の生活を守る、サプライチェーンを維持して商品やサービスの供給を継続するなど、具体的な目標の設定が大切です。企業理念や経営方針をベースにして考えると、自社に合った目標を設定できるでしょう。

2. 対応すべきリスクを把握する

社会には、さまざまなリスクが潜んでいます。BCP対策を実施する場合は、対応すべきリスクについてしっかりと把握しておかなければなりません。具体的なリスクの例としては、地震や台風といった自然災害、サイバー攻撃やシステム障害、大きな人身事故や感染症の流行などが挙げられます。
ビジネスを展開しているエリアによっては、津波や河川の氾濫などもリスクになり得ます。適切な対応策を講じるためにも、事業を継続するのが困難になるような事象はリスクと捉えて、しっかりと洗い出しておきましょう。

3. 優先して守るべき業務内容を明確にする

BCP対策を実施する上では、優先的に守るべき業務を明確にしておくことも大切です。大きな災害や事故が発生したときは、平常時のように全ての業務を進められません。人的・物理的リソースが限られてしまい、平常時の半分以下のパフォーマンスになるケースも多いでしょう。
少ないリソースでも優先的に継続すべき業務は、企業によって異なります。利益に直結する業務、社会的な信用を維持するために必要な業務、従業員や地域住民の生命に関わる業務などは、優先度が高いものと考えられるでしょう。このような企業の中核となる業務内容を明確にしておき、限られたリソースでも対応できるような体制を構築しておくことが重要です。

4. 対応すべきリスクに優先順位を付ける

洗い出したリスクの全てに対応することは難しいため、優先順位を付ける必要があります。全てのリスクに対応しようとすると、計画に膨大な時間がかかったり、そもそも限られたリソースでは対応しきれなかったりするでしょう。優先順位の高いリスクをピックアップして、BCP対策を立てることが重要です。
優先度を考えるときは、リスクが発生する可能性や、想定される被害の大きさを考慮すると良いでしょう。発生する可能性が高く、被害が大きくなりそうなリスクに絞って考えると、BCP対策を効率よく実施できます。

5. リスクへの具体的な対応策を考える

対応すべきリスクをピックアップしたら、それぞれの対応策を決定しましょう。BCP対策を立てるときは、できるだけ具体的に考えることが大切です。個別のリスクに対して、しっかりとした対応方法を決めておかないと、実際に事故や災害が発生したときに適切かつ迅速な対応が難しいでしょう。

誰がリーダーとして全体を統括するのか、どのような流れで各従業員や関係者へ連絡するのか、各従業員はどのような役割を担うのかといったポイントをできるだけ具体的に決めておきましょう。災害が発生したとき、混乱が収束しつつあるとき、平常状態に戻るときなど、タイミングごとの対応方法を決めておくことも重要です

BCP対策を実施するときのポイント

BCP対策を実施するときは、全従業員へ共有する、状況の変化に合わせて改善する、社外の取引先とも連携するといったポイントを意識しましょう。各ポイントの詳細は以下のとおりです。

全従業員へ共有する

BCP対策を立案したら、全従業員への共有が大切です。せっかく計画を立てても、実行する従業員が詳細を知らなければ意味がありません。災害や事故が発生したとき、どのように行動すべきかを共有しておかなければ、かえって混乱が大きくなってしまう可能性もあるでしょう。
必要に応じた訓練の実施も重要です。避難訓練をするようなイメージで、実際の災害発生を想定して連絡フローや取るべき行動を確認しておくと良いでしょう。さらに従業員同士でフィードバックやディスカッションを行えば、緊急時の対応への意識をより高められます。

状況に応じて改善する

BCP対策を定めた後も、状況に応じて改善していくことが重要です。実際に実行したり訓練を行ったりしたときに課題が見つかった場合は、随時、内容を見直していきましょう。
自社の経営状況や社会の変化に対応していくことも必要です。経営方針や社会情勢が変わると、新たなリスクが見つかるケースもあるでしょう。対応すべきリスクが見つかった場合は、新たな計画を立て、適切な対応策を講じなければなりません。

社外とも連携する

BCP対策が自社だけで完結しない場合は、社外の取引先や関連会社と連携する必要があります。緊急時の対応を一緒に決めておくだけでも、スムーズに取引を進められるでしょう。まずは事故や災害時の対応について、社外の担当者と話し合う機会を設けるところから始めてみてください

適切なBCP対策を実施して事業を継続しよう!

BCP対策とは自然災害や重大事故が起こった際にも事業を継続するため、あらかじめ計画を立てておくことを指します。適切なBCP対策の立案で、従業員の命や健康を守ったり、社会的な信用を維持したりすることが可能です。BCP対策を立てるときは、目的を明確にした上で対応すべきリスクの優先順位を付けましょう。 

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