運転免許を取得したものの、運転から遠ざかってペーパードライバーになってしまう場合もありますよね。免許は持っているので運転は可能ですが、いきなり公道で運転するのは不安ですし危険を伴います。 ブランクを経てからの運転で事故を起こさないようにするためには、まずは事故が起きる原因を知り、事前に運転の練習をしておくことが大切です。 こちらの記事では、自主練習のポイントや事故防止策についても解説します。
1-1.ペーパードライバーの特徴
1-2.ペーパードライバーの事故率
2-1.安全確認不足
2-2.脇見運転
2-3.動静不注視
2-4.運転操作ミス
2-5.漫然運転
3-1.身の回りのベテランドライバーに教わる
3-2.ペーパードライバー講習
3-3.個人出張レッスン
3-4.自分で練習する
4-1.ペーパードライバー向けの車の条件
4-2.交通量が少ない場所
4-3.クリープ運転や右折・左折練習
4-4.アクセルは徐々に踏み込む
5-1.座席やミラーの調整
5-2.ドライブレコーダーを導入する
まずはペーパードライバーの定義や特徴などをご紹介します。
運転免許証を持っているだけのドライバー、つまり運転免許を取得しているけれど運転をしていない人のことを指します。運転していたけれど車の運転をする機会がなくなり、ペーパードライバーになったという人もいるでしょう。
過去に事故を起こしたり、怖い思いをしたりした経験から、運転に対する恐怖心があるケースもあります。駐車や交差点の右折など、特定の操作が苦手である場合も多く見受けられます。
長期間運転しないと操作の手順や車両の間隔、道路標識の意味など、記憶が曖昧になるため、より一層運転を避けてしまうことにつながりかねません。
日本における交通事故の発生件数は年々減少傾向にありますが、2021年では30万5,196件もの交通事故が起きています。
2021年時点で運転免許を持っている人はおおよそ8,190万人であるため、この2つの数字から単純に計算すると、運転免許を持っている人が1年間で交通事故を起こす確率は0.4%にも満たない数値です。
参考:安全かつ公正な交通の確保 (npa.go.jp)
運転免許統計令和3年版 (npa.go.jp)
運転する機会が多ければ多いほど、または運転している期間が長ければ長いほど事故を起こしてしまう可能性は高まります。
一方で、普段運転をしていないペーパードライバーが練習もなしに運転する場合も危険を伴います。車の操作や標識の確認に慣れていない状態で運転するのは危ないため、事前に練習するなどして備えておくと安心です。
参考:データから見えた、新卒社員の自動車事故リスク。その原因と対策法 |お役立ち情報|クラウド型車両・運行管理サービス ビークルアシスト|パイオニア株式会社 (pioneer.jp)
事故が起こる原因としては主に5つです。
最も多い事故原因は、安全確認不足です。右折時の確認不足によって対向車と衝突したり、左折時に自転車やバイクを巻き込んでしまったりと、安全確認を怠ると事故につながる可能性があります。
その他にも一時停止での左右の確認や、車線変更のときの周囲の車の確認、合流時の確認など、運転中は安全確認が必要な場面が多くあります。
運転中は前方や後方、左右の安全確認をすることが求められますが、それを怠ると車同士の衝突や、自転車や歩行者との接触といった事故につながってしまうことがあるのです。
運転中にスマートフォンやカーナビなどの操作をしたり、景色や看板を見たりといったよそ見が原因で事故を起こしてしまうことがあります。若年層が占める割合が高い原因の1つです。
脇見運転による事故は減りつつありますが、安全確認不足に次いで2番目に多い事故原因となっています。たとえば時速60kmで走行中の場合、車は1秒間におおよそ17mも進みます。つまり、たった1秒間のよそ見でも大きな事故を起こしてしまう可能性があるのです。
周囲の車や歩行者、自転車などの存在には気付いているものの、相手の動きへの注視が足りない状態を指します。
たとえば右折待ちで停車している際、対向車を認識しながらも自分が先に行けると判断して右折したところ、衝突してしまったというケースが挙げられます。
また、相手の車が止まってくれるだろう、対向車が譲ってくれるだろう、近くに歩行者がいるけれど横断歩道は渡らないだろうといった「だろう運転」も当てはまります。
アクセルとブレーキのペダルの踏み間違い、ハンドル操作のミス、ギアの入れ間違いなど、運転操作を間違ってしまったことで事故につながるケースもあります。運転操作ミスは若者や高齢者に多いです。
具体例には、アクセルとブレーキを踏み間違えての建物への衝突やバックするつもりがギアを入れ間違えて前進してしまうことが挙げられます。
ハンドル操作のミスではスピードが出ているケースも多く、重大な事故につながりやすいでしょう。普段は問題なく運転操作ができていてもパニックになると操作ミスが起きてしまうことがあります。
集中しておらず、ぼんやりしながら運転している状態を指します。考えごとをしたり、同乗者との会話に夢中になったりしているため、見ているようで見ていないという状態です。
ぼんやりしていると、歩行者や車、信号の色、標識などにも気付きにくくなり、事故につながってしまうのです。
また、ハンドル操作が鈍くなる、気付かないうちに車間距離が不足する、ブレーキ操作が遅れるといった事態にもつながりかねません。漫然運転は死亡事故につながるケースも多く、重大な事故を引き起こしてしまう可能性が高いといえます。
参考:安全運転研修の効果が見えない・・・指導の効果を高めるための鉄則とは |お役立ち情報|クラウド型車両・運行管理サービス ビークルアシスト|パイオニア株式会社 (pioneer.jp)
日常的に運転が必要な地域に引っ越した、旅先でレンタカーを使う、車で送り迎えが必要になったなど、突然運転する機会ができることもありますよね。
長いブランクを経て運転する場合は、以下の方法を参考に練習しておくと安心です。
お金をかけず、手軽に行える練習方法です。家族や親戚、友人など、周囲にベテランドライバーがいる場合は教えてもらいましょう。
まずはベテランドライバーが運転する車の助手席に座り、運転する様子をじっくりと観察します。ミラーを確認するタイミングや運転中の目の動き、車線変更のタイミング、車間距離の取り方などをよく見て、自分が運転するのをイメージするとよいでしょう。
運転できそうであれば自分が運転して、ベテランドライバーに助手席に座ってもらい、運転しやすい道路を走行してみます。徐々に運転頻度を増やしていき、慣らしていきます。
注意点やコツを教えてもらうことで、見ているだけではわからないポイントも知ることが可能です。ただ、運転に慣れているとはいえ教習のプロではないため、効率が悪くなかなか上達しないことがある点には注意しましょう。
新規に免許を取得する際には、自動車教習所に入るのが一般的です。自動車教習所では、新しく免許を取る人だけでなくペーパードライバー向けの講習を行っていることがあります。
運転姿勢のとり方や基本的な操作方法から教えてもらえること、プロの指導員に教えてもらえることなどから、ペーパードライバー歴が長くて運転に自信がない人にもおすすめです。安全に、効率よく運転方法を身につけられるでしょう。
教習車を使うので、自分の車を持っていなくても練習できます。教習車には補助ブレーキが付いているため、万が一のときは指導員がブレーキをかけてくれます。
また、教習所内で練習をして、その後路上教習に進めるのもメリットです。標識の見方や交通ルールなど基本的なことからしっかり学びたい場合は、学科講習もセットで受けられると安心です。
指定の場所に来てもらい、個人出張レッスンをしてもらう方法です。専門のスクールで行っており、基本的には自分の車を使用します。
また、買い物や送り迎えなど運転の目的がある程度決まっていて、よく利用する道を使って練習したい場合にもおすすめです。実際に車庫入れする場所を使うことで、実践的な練習ができます。
自主練習する場合は、講習や個人レッスンを受けた後に復習として行うのがよいでしょう。講習などを受けずにいきなり1人で自主練習するのは、あまりおすすめできません。
また、自主練習する場合は充分に注意しながら行う必要があります。
ペーパードライバー講習や個人レッスンを受けて運転の感覚を取り戻せてきたら、自主練習をしてさらに運転に慣れていきましょう。
いきなり本番では焦りの元になるため、時間の許す限り練習しておくと安心です。以下にご紹介するポイントを参考にしながら、自主練習をしてみてくださいね。
自主練習する際に使う車は、運転しやすいタイプがおすすめです。具体的には、車体が小さくて小回りが利くこと、座席の位置が高めであること、ボンネットの先端までが運転席から見えること、前方・後方・斜め後ろなどが見やすいことなどが挙げられます。
運転席からの死角が多いタイプや、後方が見えにくいタイプは避けます。安全機能がついた車であれば、より安心です。
自動ブレーキ機能や衝突を防ぐセンサー、アクセルとブレーキの踏み間違いを防ぐ装置などが装備されていれば、万が一のときに運転をサポートしてくれるでしょう。
交通量が多い場所は避けます。車だけでなく自転車や歩行者などの人通りが少ない場所を練習場所に選びましょう。車線の幅が広い道だと運転しやすいです。
また、土地勘のある場所を選ぶこともポイントです。駐車の練習をする際も、前後左右に駐車中の車がないような、空いている駐車場を選んで練習します。
自主練習する際は、可能であればベテランドライバーに同乗してもらうことをおすすめします。
また、場所に加えて時間帯にも注目を。朝の通勤時間や夕方などの交通量が増えやすい時間帯は避けましょう。早朝のような明るくて、かつ車や人通りが少ない時間帯を狙うのがおすすめです。
ギアが「P」や「N」以外のとき、ブレーキから足を離すとアクセルを踏まなくてもゆっくりと車が前進もしくは後進する現象をクリープ現象といいます。
最初はアクセルを踏まずにクリープ現象を利用して運転の練習をするのがおすすめです。ゆっくりとした動きで車が動くのを体感したり、ハンドル操作したりして運転の感覚を思い出しましょう。
なお、クリープ現象が起こるのはオートマチック車のみです。まっすぐに進むことに慣れたら、右折・左折の練習をします。大きくハンドルを切り、巻き込み確認などもしながらゆっくりと進みましょう。内輪差にも注意が必要です。
クリープ現象で運転して車を動かす感覚に慣れたら、アクセルを踏み込んでスピードを上げてみます。スピードメーターを見て、自分の車のスピードが時速何キロで走っているのかを確認するようにしましょう。
速度が上がると視界は狭くなるため、目線を少し先にして運転することがポイントです。目線が遠くにあると周囲の車や人の動きがよく見えるようになり、走行軌跡も安定します。少し先を見て、追突や急ブレーキに対応できるようにしましょう。
事故を起こさないためにも、再発防止策を把握しておくことをおすすめします。
事故のない運転をするには、まず運転しやすい姿勢をとることが大切です。座席を前後、上下に動かして、自分に合った運転姿勢をとりましょう。
ブレーキやアクセルは右足で操作するため右足の動きやすさも確認し、ブレーキをしっかりと踏み込める位置に座席を合わせます。
また、ハンドルやシフトレバーが操作しやすいかも確認してください。軽く腕を曲げた状態でハンドルを両手で握ったときに、背中とおしりが座席に密着していると、リラックスした姿勢をとりやすいでしょう。
正しい座席位置にシートを調整したら、ミラーの位置も調整します。ルームミラー、ドアミラーを動かして、後方が見やすいようにしましょう。
近年ドライブレコーダーは注目されており、自家用車に設置する人も増えています。
映像や音声を記録するドライブレコーダーは、事故が起きたときの状況証拠としてやあおり運転の防止策としての効果があり、設置することでいろいろなメリットがあります。
さらに、自分の運転を客観的に見る方法としても活用できます。
ドライブレコーダーの映像を見返すことで運転中には気付かなかった自分の悪い癖を把握したり、自分の運転の改善点を見つけたりと、自分自身の安全運転に役立てることが可能です。
ペーパードライバーがいきなり1人で公道を運転するのは危険を伴います。運転する場合は、講習や個人レッスンを受けたり、ベテランドライバーに教わったりして練習するようにしましょう。
事故を起こさないようにするには、事故が起きる原因を把握することも大切です。安全確認不足や脇見運転、動静不注視などで事故は起こりやすいため、運転する際には意識しておきましょう。事故防止策として、ドライブレコーダーを導入するのもおすすめです。