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VICSとは?仕組みや時間表示を分かりやすく解説

道路交通情報を提供するVICSを活用すれば、渋滞回避や安全運転支援などのサポートを受けられます。本記事では、VICSの仕組みや見方について解説します。VICSの基本情報を押さえつつ、上手に活用して安全運転に役立ててください。

目次

1.カーナビのVICSとは?

1-1.多くのカーナビにはVICS受信機が内蔵されている
1-2.VICS受信機の時間表示は現在時刻とは異なる

2.VICSの仕組み

2-1.FM多重放送
2-2.光ビーコン
2-3.電波ビーコン

3.VICSの見方を3つのポイントで解説

レベル3. 地図表示
レベル2. 簡易図形表示
レベル1. 文字表示

4.VICSの仕組みを理解して安全運転を心掛けよう!

 

カーナビのVICSとは?

VICS(Vehicle Information and Communication System)とは、VICSセンター(一般財団法人道路交通情報通信システムセンター)が提供している道路交通情報システムのことで、カーナビになどに用いられているシステムです。VICSセンター(一般財団法人道路交通情報通信システムセンター)では、24時間365日渋滞情報や交通規制などの情報を集め、編集・処理したものを道路交通情報(VICS情報)としてカーナビに届けています。
VICS情報は、いつどんな場所でもスムーズな移動ができるよう、最新の事故や故障車の発生状況、通行止めや速度規制などの最新交通情報、工事や渋滞箇所の区間を24時間365日提供し、渋滞回避などをサポートします。
また、近くにある駐車場の満車・空車状況を表示することで、駐車場の空きを探すために何度も巡回したり、高速道路で混んでいるサービスエリアやパーキングエリアを避けたりすることができ、スムーズな駐車場の利用が可能になるでしょう。
VICSからのリアルタイムな道路交通情報は、渋滞の回避やスムーズな道路交通が促されるだけでなく、事故防止の役割も果たしています。

多くのカーナビにはVICS受信機が内蔵されている

現在、販売されているほとんどのカーナビには、VICS受信機能が標準装備されています。VICS車載機出荷台数は、1997年までは累計約44万台でしたが、2023年4月現在、累計で約7,758万台にものぼります。(※)ただし、製造年の古いカーナビの場合、VICS機能に対応していないものもあります。型式の古いカーナビを購入する場合、VICS受信機が内蔵されているのかどうか、事前に調べましょう。仮にVICS非対応のカーナビであっても、VICS受信機を別途設置することでVICSを利用できます。
また2015年4月からは、VICSWIDEとして従来の情報量を約2倍に増やしたサービスがスタートしています。VICSWIDEは、より精度の高い渋滞回避のルートガイダンスが可能で、大雨や火山の噴火情報などの気象情報も表示してくれます。なお、VICSWIDEを受信するには、VICSWIDE対応機種であることが必要です。

参考:一般財団法人 道路交通情報通信システムセンター「VICS車載機出荷台数」

VICS受信機の時間表示は現在時刻とは異なる

カーナビに表示されるVICSの文字やマークの近くにある時間表示が、現在時刻と合っていないと思ったことはないでしょうか。実は、この時刻表示はVICSセンターから交通情報が発進された時間を示しています。そのため、現在の時刻と異なっていても故障ではありません

VICSの仕組み

VICSは、VICSセンターに集められた情報を編集・処理し、FM多重放送・光ビーコン・電波ビーコンの3つのメディアを使って、道路交通情報(VICS情報)としてカーナビにリアルタイムで提供しています。ここではそれぞれのメディアの違いや仕組みについて、詳しく解説します。

1. FM多重放送

FM多重放送は、各地にあるNHKのFM放送局の音声放送を利用して、受信している都道府県と周辺の道路交通情報を提供するメディアです。
提供されるVICS情報には、以下が挙げられます。

● 渋滞・混雑情報や所要時間

● 駐車場位置と満車・空車情報

● 事故・工事・災害や気象条件などによる規制情報

● 花火大会・マラソン大会などのイベントによる交通規制情報

VICSから提供される情報は5分間隔で更新されますが(※)、カーナビに表示されるまでには時間がかかることがあります。また、常に最新の情報が表示される訳ではありません。

※参考:一般財団法人 道路交通情報通信システムセンター「FM多重放送とビーコン(FM多重放送)」

2. 光ビーコン

光ビーコンは一般道の主要幹線道路に設置されており、車の進行方向の前方30km以内と後方1km以内の一般道路と高速道路の交通情報が提供されています。光ビーコンは、路上に設置された送信機から赤外線を出すことで交通情報を配信する仕組みで、受信エリアはビーコンの手前3.5m程度になります。(※)提供されるVICS情報は、次のようなものです。

● 渋滞・混雑情報や道路交差点間の一定距離にかかる所要時間

● 駐車場位置と満車・空車情報

● 事故・工事・災害や気象条件などによる規制情報

● 出会い頭衝突防止・追突防止・信号見落とし防止など

光ビーコンの受信状況や環境により、VICS情報を受信しない場合があります。

※参考:一般財団法人 道路交通情報通信システムセンター「FM多重放送とビーコン(FM多重放送)」

3. 電波ビーコン

電波ビーコンは、主に高速道路に設置されています。情報の提供は、高速道路に設置されているビーコン局から発せられる電波ビーコンを用いています。電波ビーコンには、電波ビーコン(2.4GHz帯)とETC2.0(5.8GHz帯)の2つがあり、従来の電波ビーコン(2.4GHz帯)は2022年3月31日にサービス終了となりました。(※)
ETC2.0(5.8GHz帯)が登場したことで、情報提供の範囲が200kmから1,000km程度にまで拡大しました。高速道路と並行する一般道路やインターチェンジ付近の接続道路など広範囲な道路交通情報が提供されています。(※1)
提供されるVICS情報は、次のようなものです。

● インターチェンジ間の所要時間

● 渋滞・混雑情報や一般道路を含む分岐点の案内

● 事故・工事・災害や気象条件などによる規制情報

● 渋滞回避支援・安全運転支援

ETC2.0なら配信される広範囲な渋滞データをもとに、カーナビが最適なルートを再検索するため渋滞を避けることが簡単になりました。また、安全運転支援として、事故多発地点や高速道路の落下物などの情報を警告として表示しています。事前に情報を把握できるため、システムを利用した約8割が役に立ったことを実感しているそうです。(※2)走行中にヒヤリとすることが減り、交通事故の抑制にも貢献しています。
電波ビーコンとしてETC2.0を利用するには、ETC2.0(電波ビーコン5.8GHz帯)対応カーナビとETC2.0(電波ビーコン5.8GHz帯)が必要です。

参考:国土交通省「次世代技術のITSスポットサービス提供中。ぜひご利用ください!〜従来の電波ビーコン(2.4GHz)によるサービスは平成34年3月に停止します〜」
VICSセンター「動画で紹介!VICSの機能」

 

VICSの見方を3つのポイントで解説

VICS情報は、カーナビの画面に地図・図形・文字の3つのタイプで表示されます。ただし、利用できる情報はVICS受信機の機能や性能、走行場所により異なります。

レベル3. 地図表示

レベル3は、カーナビの道路地図上に自動で表示されるタイプです。渋滞は赤色、混雑はオレンジ色で表示され、線の長さで混んでいる区間が分かります。
さらに、駐車場の位置や空車・満車の状況はPマークの色によって見分けることができます。事故・故障車・障害物・工事・作業・凍結といった交通障害情報や通行止め・進入禁止・速度規制・車線規制などの交通規制情報も表示されるため、スムーズな運転が可能となるでしょう。

レベル2. 簡易図形表示

レベル2は簡易図形表示です。パターン化された図や文字で表示されるもので、サービスエリアや高速道路上で見られる電光掲示板に近いイメージです。FM多重放送やビーコンから提供される渋滞・混雑状況や事故などのVICS情報をカーナビに反映します。
FM多重放送でのVICS情報は、手動操作でカーナビに表示するのに対し、電波ビーコンや光ビーコンで提供されるVICS情報は自動でカーナビ画面に割込み表示されます。

レベル1. 文字表示

レベル1は文字表示です。エリア別の広域情報や渋滞場所や距離、道路規制内容などが、30字(15字×2行)以内でカーナビの画面に表示されます。(※)
レベル2の簡易図形表示と同様に、FM多重放送でのVICS情報は手動で選択することでカーナビに表示するのに対し、電波ビーコンや光ビーコンで提供されるVICS情報は自動でカーナビ画面に割込み表示されます。

※参考:一般財団法人道路交通情報通信システムセンター「VICSの見方(文字表示(レベル1))」 

 

VICSの仕組みを理解して安全運転を心掛けよう!

本記事では、カーナビに表示されるVICSの仕組みや見方、提供されるサービスについて紹介しました。社用車で走り慣れない道を運転したり到着時間が決まっていたりする際は、VICS情報をうまく活用して渋滞を避けつつ、効率的かつ安全な運転を実現しましょう。 
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