ドライバー人口の減少や高齢化、荷物の小口化、配送の多頻度化など、様々な要因を背景に社会問題化している「物流ドライバー不足」。こうした状況下では、経験の浅いドライバーを「いかに即戦力化するか」が重要な意味を持ちます。 今回は、即戦力化を促すための運行管理に必要な具体策をご紹介します。
■経験不足のドライバーを多く抱える物流会社のよくある悩み
■ドライバー不足を改善する3つの具体策
・原則① 事故発生の未然防止に向けた「安全運転対策」
・原則② 運行管理の平準化で「時間厳守」
・原則③ 電話連絡や報告の手間を減らし「業務効率化」
■鍵は「2人乗車期間をいかに短縮できるか」
新人ドライバーには業務経験のみならず、運転技術自体が未熟なケースが多々あります。
「目的地の近くには着いたけど、この道から倉庫へはどうやって入ればいいんだ・・・?」
「駐車の向きはこれであっているっけ・・・?」
運転中の不安や迷いが重なると、集中力の低下を招き、思わぬ事故につながります。だからこそ管理者は、新人ドライバーが余計なことに気を取られず、運転に集中できるようにするための仕組みの整備・環境づくりに取り組む必要があります。
また、ドライバーの経験や勘に頼った状態から抜け出せない、具体的な対策を講じられていない、といったケースも多いです。新人教育を2人乗車といったOJT(On-the-Job Training)で実施するケースが多いのですが、人員や時間が限られる中、即戦力を求めるあまりに引継ぎや教育がおろそかになってしまうのは問題です。
新人ドライバーに業務を任せるにあたり、管理者が不安を抱くのは「時間内に顧客の元へ、安全に荷物を届けることができるだろうか」というものでしょう。ドライバーの安心・安全を守り、荷主の信頼を得ることは、ドライバーだけの責任ではなく企業が行うべき運行管理の大原則です。安全運転指導や業務進捗の確認など、管理者とドライバーの手間や業務負荷を増やすことなく実施できる仕組みは必要不可欠です。
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では、前述のような事柄を現場の運用に取り入れるためには、どのような観点が必要なのでしょうか。まだ現場の環境整備が不十分だと感じるようであれば、次のような部分から取り組んでみましょう。
経験の浅いドライバーほど運転に集中することが大切で、業務やルールなど覚えることがたくさんある初期には運行上に注意が必要な地点を覚えることも慣れるまでは大変です。
通信型ドライブレコーダーをはじめとする車載器には、「ヒヤリハット地点」が近づくと音声と画面表示で注意喚起を促す機能が備わっているものもあります。このような機能を活用することで、ドライバーの意識を運転に集中させながら注意が必要な場面での気づきをシステムによってカバーすることが可能となります。
時間を守るということは、顧客の信頼を得るうえでの大原則です。ベテランドライバーは経験や道路状況から所要時間の見込みをたてリカバリー策まで講じることができますが、不慣れな道を走る新人ドライバーにそれを求めることは難しいものです。
新人ドライバーに実際の走行ルートを覚えてもらう目的で「2人乗車」の期間を設けることは有効な取り組みです。しかし、他のドライバーが同乗することで生まれる機会損失を考えると、早い段階での独り立ちが望まれることはいうまでもありません。
運行管理に対応したカーナビには、管理者が作成したルートをそのままカーナビに指示を転送することができるものもあり、ドライバーは案内に従って走行するだけで目的地にたどり着くことも可能になります。入念に走行ルートを事前に確認したり、突発的な交通状況の変化に対応するなど、経験が浅いドライバーの弱点をカバーできるだけでなく、運転に集中できる環境をつくることにもつながります。
新人ドライバーの即戦力化を図る上では、運転に対する集中を削ぐようなことは極力避けたいものです。管理者は予定通りに運行できているかを管理する必要もありますが、電話による到着時間の確認などは、運転の妨げとなる最たる例でしょう。
リアルタイムな位置情報を把握できるカーナビや通信型ドライブレコーダーなどの車載器を利用すれば、管理者はパソコン上で運行状況を確認することができます。業務の進捗を報告するために、車を停めて電話をかける手間がなくなれば、時間のロスも減るうえに運転に集中することが可能となります。手間なく業務を見える化できることは、管理者とドライバーの双方にとってメリットが大きいと言えます。
ドライバー不足の解決を目指すためには、新人ドライバーの即戦力化が重要なポイントになります。特に、2人乗車期間をいかに短縮し、ドライバーを独り立ちさせることができるかどうかによって、配送業務全体の生産性も大きく変わってくるはずです。
例えば、カンダコーポレーション株式会社様では、元々4週間程度、先輩ドライバーが同乗して業務を教えながら回っていました。しかし、クラウド型の運行管理サービス「ビークルアシスト」の導入後には、新人だったドライバーが2週間程度で独り立ちすることに成功しています。ビークルアシストを活用すれば、渋滞を避けて一番早く着くルートで運行することも可能となるため、「今では彼女の方がベテランより早く回って帰ってくる」というコメントもいただいています。
新人ドライバーの2人乗車期間が1/2に軽減:【導入事例:カンダコーポレーション株式会社様】
https://mobility-service.pioneer.jp/cloud/case/004kanda_corporation/
また、新人ドライバーの即戦力化を目指すには、まず安全運転指導は欠かせません。そこで、安全運転指導をこれから取り組む、実際に行動に移せる指導法がないかお悩みのご担当者様は、ぜひ以下の資料もご覧ください。