営業マンが社用車を扱う企業において「新卒社員の現場配属直後」は、最も交通事故に警戒する時期になるはず。各年齢層別のデータでは、「20代の乗用車普及率の低下」や「20代前半の交通事故の多さ」も明らかになっており、実行性のある対策は必要不可欠といえます。では、その背景にある原因をどう理解し、どのような対策を取るべきなのでしょうか。
■若年ドライバーの事故件数は本当に多いのか?
■若年ドライバーの交通事故を招く原因とは
■必須なのは「使える知識」と「意識の変革」
■継続できる安全運転指導で意識変革を
交通事故に関するニュースは多くの場合、その悲惨な事故現場の映像や写真と共に報道されることから、情報の受け取り手としては誤った認識を抱いてしまう恐れがあります。印象に左右されて安全運転対策の本質を見失うことがないように、客観的なデータを踏まえつつ、効果的な対策を検討することが重要といえます。
若者の消費動向に目を向けて見ると、若年層の自動車普及率が低下傾向にあることがわかります。乗用車世帯主年齢階層別普及率(内閣府の消費動向調査より)の29歳以下のデータを見ると、2015年に50%を下回っています。同年齢層の2005年時点の普及率が70%近いことから、若者の車離れは確かだといえそうです。
そして、警察庁が示した「平成29年中の交通事故の発生状況」によると、若年ドライバー(16~24歳)の法令違反による事故は約6万件とされています。この事故件数を免許保有者10万人あたりの事故件数(約543件)と比べると、およそ2倍(16~24歳の場合、約1,089件)に達していることがわかります。つまり相対的に見ると、若年ドライバーの事故発生率は高い水準にあるといえます。
この背景には、どのような要因が絡んでいるのでしょうか。
警察庁が示した同調査によると、16~24歳の人的要因別事故原因の約72%が「発見の遅れ」にあるとされています。これは、判断ミスや運転操作の誤りではなく、そもそも運転中に前方から目をそらしていたり、考え事をしていたりしたことを意味します。そして、この72%の内訳を見てみると、37%が「前方不注意」、35%が「安全不確認」とされており、いずれも技術的な問題以上に「運転への向き合い方」が関係していると解釈できます。
より具体的な原因を見てみましょう。若年ドライバーの「発見の遅れ」を招く事故原因には、「居眠り運転」が約2.3倍、「雑談等話をしていた」「テレビ操作等」「携帯操作」といった項目が約1.6倍と高い数値を示しています。これらの内容を見る限り、若年ドライバーの事故発生原因には「交通安全に関する知識・意識の低さ」が関係しているといっても過言ではなさそうです。
では、こうした前提を元に事故防止策を検討しようとした時、どのようなアプローチが考えられるでしょうか。
安全運転指導の取り組みというと、多くの企業では、集合型の安全運転講習を行っているのではないでしょうか。これらの取り組みは、大人数に対して均一の教育指導を行う上では一定の効果を発揮します。しかし、運転経験の少ない若者に対しては、集合研修の効果が発揮しづらいことも指摘されています。
この要因の一つが、若年ドライバーは運転する機会が少ないため「運転中にヒヤっとした経験」も少なく、危険予知能力が未熟なことにあります。危険な目にあったことがないと、自分が事故を起こすことは想像できないため、教材だけでは自分ごと化しづらいのです。そこで検討したいアプローチが、現場で使える知識取得を前提とした取り組みです。
例えば、同僚のドライバーが運転している「ヒヤリハット映像」を活用できれば、実際身近に起きていることとして強い注意を促すことができます。実際によく走る道のどんなところに危険が潜んでいるのか、そこでは具体的のどのようなことに注意を払う必要があるのか、現場で「使える知識」を取得することができます。映像を自分に置き換えながら学ぶことができるか、明日は我が身という「意識の変革」を促すことがポイントです。
こうした取り組みを行うために、ドライブレコーダーで録画された動画を活用する企業が増えています。動画を回収することは、監視されているようで快く思われないこともあるため各従業員への配慮は必要です。しかし、これらの取り組みによって一定の緊張感の下で運転できる環境をつくることは、ドライバーの安全確保にも繋がるものですし、事故防止のためにはまず危険運転をなくすことが基本となるので、その目的も合わせてきちんと説明し、より効果的で継続的な安全運転対策を進めていきましょう。
今回ご紹介したように、若年ドライバー向けの安全運転指導には、研修や指導の内容を「いかに自分ごと化してもらうか」が成果に繋げる鍵となります。近年は若者の車離れも指摘されており、基本的な運転技能が足りていないなど、事故につながる様々な要因が考えられます。だからこそ、それらの背景を一つずつ紐解き、最適な安全運転対策を考え続ける必要があります。
ドライブレコーダーを活用した、安全運転管理が注目されていますが、パイオニアのビークルアシストは、手間なく継続的に安全運転管理を行える仕組みとして提供しています。特に危険運転の「動画データ」を、SDカードを回収する手間などなく、リアルタイムにクラウドへアップロードし自動で一覧化するため、管理者はいつでも確認することが可能です。個人ごとの危険運転の傾向も把握しやすいので、具体的な指導を行えるようになり、効果的な対策となるでしょう。
これらの安全運転指導の環境整備は、新卒社員の現場配属が始まる前段階で完了させることが望ましいといえます。先手の対応を打つことで、事故の防止・削減をスムーズに進めていきましょう。
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