• テクノロジー
  • 車両管理業務

ドライブレコーダーの機能と効果とは。有効活用TIPSをご紹介

近年、悪質なあおり運転などの危険行為が社会問題となっており、安全運転への意識の高まりからドライブレコーダーを車に設置する方が増えています。 ドライブレコーダーは事故発生時の瞬間を映像として記録するため、自己防衛に生かすだけでなく、さまざまな面における効果が期待できます。 本記事では、ドライブレコーダーを導入するにあたって知っておきたい、ドライブレコーダーの基本的な機能と特徴、設置にともない得られる効果についてご紹介します。

目次

1.ドライブレコーダーとは?基本的な機能をご紹介

1-1.個人向けドライブレコーダーの特徴
1-2.業務用ドライブレコーダーの特徴

2.ドライブレコーダー設置による効果

2-1.あおり運転の抑止
2-2.安全に対する意識向上を図れる
2-3. 交通事故の事実関係を記録できる
2-4. 業務効率化につながる

3.ドライブレコーダーの活用例

3-1.事故の事実関係の記録
3-2.従業員の評価基準として活用

4.ドライブレコーダーをより効果的に運用するには

4-1.危険な運転は運転者に映像を共有する
4-2.記録をもとにこまめな声掛けを実施する

4-2-1.客観的事実を伝えるのがポイント

5.まとめ

 

ドライブレコーダーとは?基本的な機能をご紹介

ドライブレコーダーとは、急停止や大きな衝撃が加わった際に前方の映像や音声、走行速度、ハンドルの角度や方向指示器の操作などを記録する車載機器のことをいいます。 交通事故などが起きた際にドライブレコーダーの記録映像を見ることで、ドライバーがどのような運転操作を行ったのかが分かり、事故の状況を確認・分析するのに役立ちます。 

ドライブレコーダーは、カメラと記録を行う装置部分(本体)で構成されており、主流なのはカメラと本体が一体化された「カメラ一体型」です。 「カメラ一体型」のほかにも、カメラと本体が分かれている「カメラ分離型」や、ルームミラーに直接取り付ける「ルームミラー装着型」があります。 

また、ドライブレコーダーは自家用か業務用かによって搭載されている機能もさまざまです。

個人向けドライブレコーダーの特徴

個人向け、いわゆる自家用車両向けのドライブレコーダーは、事故の記録を主な目的としています。 衝突や急停止などの大きな衝撃が加わったときに、前後の映像や音声、時刻、走行速度などを自動で記録する「イベント記録タイプ」と呼ばれるものが多く流通しています。 

車両への衝撃はGセンサーと呼ばれる感知機能によって検知され、自動的に事故前後の映像などが録画されるシステムとなっています。また、個人向けのドライブレコーダーに搭載されている機能には、録画機能や録音機能のほかにも、車上荒らしなどの防衛策として駐車した後も録画が可能となる駐車録画機能や、位置情報を確認できるGPS機能などが挙げられます。 

多機能なドライブレコーダーを選ぼうとすれば価格も必然的に高くなりますが、必要最低限の機能だけを備えたものなら比較的安価で購入することができます。 

業務用ドライブレコーダーの特徴

法人向けの業務用ドライブレコーダーは、車両の操作に関わらず常時録画によって連続した映像の録画が可能となる「常時録画タイプ」が一般的です。 「常時録画タイプ」はエンジンをかけると自動的に録画が開始され、連続して録画ができる時間に応じて最新の映像が記録されます。法人向けのドライブレコーダーは、事故の記録だけでなく社員の危険運転の抑止や車両のデータ管理など、目的に応じてさまざまな機能を搭載しています。 

その例として、正確な位置情報を確認できるGPS機能や、走行距離・移動履歴の記録をするものなどが挙げられます。また、多くの社用車を管理している法人向けには、車両データ管理の負担を軽減するものとして「通信型」のドライブレコーダーも普及しています。 通信型のドライブレコーダーは、事故などが起きた際に遠隔で映像確認ができるほか、走行データを自動集計など車両管理に役立つ機能が多く搭載されています。急ブレーキなどの危険な挙動も検知し記録する機能があれば、社員によるあおり運転や危険運転なども把握することにも役立ちます。 

 

ドライブレコーダー設置による効果

ドライブレコーダーは事故の瞬間を映像として記録するだけでなく、危険運転の抑止や安全運転の意識づけなど、さまざまな効果が期待できます。具体的な効果としては、以下のようなことが挙げられます。

あおり運転の抑止

昨今ニュースでも度々取り上げられている「あおり運転」は、特定の車両に対し車間距離を極端に詰めたり幅寄せなどで走行を妨害したりする悪質な行為として社会問題化しています。2020年6月30日には、道路交通法の改正によりあおり運転が「妨害運転罪」として厳罰化されましたが、残念ながらまだまだ全国各地であおり運転をするドライバーは後を絶ちません。そこでこのような危険運転をするドライバーに対し、大きな抑止力を発揮するのがドライブレコーダーです。ドライブレコーダーは急ブレーキや衝撃などを検知して前後の映像や音声、ハンドルの操作などを記録するため、ドライブレコーダーを車に設置しているというだけで事故の抑止につながる効果が得られます。

また、実際にあおり運転の被害にあった際には、裁判でドライブレコーダーの記録映像を証拠資料として提出できるため、一方的に妨害行為をされたことを立証することもできます。自身が安全運転を心掛けていても、いつどこで危険なあおり運転の被害に遭うかは分かりません。ドライブレコーダーは、万が一に備えるという意味でも設置することに大きな効果があるといえます。

安全に対する意識向上を図れる

車の運転をしていると、重大な事故にはならなかったものの「ヒヤッ」とする場面や「ハッ」とするような場面、いわゆる「ヒヤリハット」な場面に遭遇することは少なくありません。そのようなヒヤリハット事案に対し、ドライブレコーダーは記録映像を通して良くない運転の癖などを客観的に確認できるだけでなく、反省に生かし安全運転に対する意識向上を図ることができます。ドライブレコーダーを搭載していれば、交通事故が起きそうになったときも、後から「なぜ事故になりかけたのか?」という原因を検証することもできるため、より安全に運転しようという意識づけができるようになります。

また、法人向けの業務用ドライブレコーダーでは、従業員の危険運転を記録データから確認することによって安全運転に対する指導や教育に役立てることもできます。客観的事実に基づいた指導により、従業員の安全運転に対する意識向上が期待でき、事故の発生率を防ぐ効果も得られます。社用車を使用する社員には、管理者に常に車の運転を監視されているという意識が働くため、ドライブレコーダーを搭載しているだけで危険運転の抑止にもつながります。

 交通事故の事実関係を記録できる

もしも車を運転しているときに交通事故を起こしてしまった、あるいは交通事故に巻き込まれてしまったら、はたして瞬時に事故状況を把握できるでしょうか。大半の方は、突然の事態にパニックを起こし、すぐに状況を飲み込んで正しい判断のもと事故処理を行うのは難しいはずです。

しかしドライブレコーダーを車に搭載していれば、事故発生時の信号状況や相手側の車の速度、ドライバーのハンドル操作などの正確な記録を残せるため、事故後の手続きをスムーズに進めることができます。また、事故後に当事者同士の言い分が食い違い、一方的に自分側が悪いと決めつけられるような事態になっても、ドライブレコーダーの記録が事故の目撃者として自身の証言を受けづける証拠に役立ちます。

万が一、ドライブレコーダーを搭載していない車同士で交通事故を起こしてしまった場合は、最悪のケースとして相手側から予想以上の損害賠償を求められることも想定されます。ドライブレコーダーは、記録そのものが事故の目撃証言となるため、そのような最悪のケースを回避することにも役立ちます。

業務効率化につながる

業務上、車両の運転が必要となる運送業など、車両総質量が7トン以上となる社用車には、運行時間や走行速度などから車両の稼働状況を記録する「タコグラフ」を装着することが義務付けられています。しかし、タコグラフの装着が義務付けられていない車両であっても、運行ルートを把握し業務効率化を行いたいと考える企業も多いはずです。そのような社用車の管理における業務効率化においても、ドライブレコーダーは効果を発揮します。

ドライブレコーダーにはさまざまな機能がありますが、そのなかのひとつとしてGPS機能というものがあります。ドライブレコーダーに搭載されているGPS機能とは、人工衛星から発信される電波を受信することにより、現在の位置や時刻などを測定することができる機能のことをいいます。GPS機能付きのドライブレコーダーは主に通信型となりますが、この機能を活用しドライバーの走行ルートや運行内容を管理者が把握することで、より適切な走行ルートや運転に対する意見を伝えることができるようになります。また、適切な走行ルートに沿って業務を行ってもらうことで、燃費の向上や改善を見込むことも可能になります。さらに、通信型のドライブレコーダーから送られる運行データをもとに、走行開始時刻(出発時刻)と走行終了時刻(到着時刻)を管理すれば、日報作成にも役立てられるでしょう。

このように、ドライブレコーダーの機能を正しく選択すれば、わずらわしい車両管理も簡単に行うことができるようになります。より効率良く社用車の管理を行うのなら、ドライブレコーダーを活用するという方法もひとつです。

 

ドライブレコーダーの活用例

ここまで、ドライブレコーダーの基本的な機能と特徴、導入することにより得られる効果についてご紹介してきました。では実際に、ドライブレコーダーを導入したことで運用効果を発揮した事例を見ていきましょう。

事故の事実関係の記録

ドライブレコーダーを設置した車が交差点で対向車と接触し交通事故を起こした事例では、事故直後の双方の意見として「信号は青だった」という証言がありました。しかし、ドライブレコーダーの記録では、実際は対向車側の信号が赤信号であり、信号無視による事故だったことが判明しました。これにより、ドライブレコーダーの記録が双方の青信号だったという証言は誤りであるということの証明になり、対向車となる車を運転していたドライバーに過失があったという事実を裏付けることに役立ちました。

従業員の評価基準として活用

運送業に携わる従業員の運転評価基準を設けるにあたって、ドライブレコーダーの機能のひとつとして注目されている「運転診断機能」をもとに、従業員の評価に取り組む企業が実際にあります。運転診断機能とは、ブレーキや停止、ハンドル操作といったドライバーの運転技術を診断し、診断結果をグラフ化しレポートにすることができる機能です。

SDカードが内蔵されている映像確認をメインとしたドライブレコーダーでは、運転評価の規準を設けづらいというデメリットが少なからずあります。しかし、運転診断機能を搭載したドライブレコーダーなら、客観的にドライバーの運転を評価してくれるため、従業員評価にも役立てることができます。安全運転への意識向上や事故予防といった効果も見込めるので、今後導入を行う企業は増えていくのではないでしょうか。

 

ドライブレコーダーをより効果的に運用するには

万が一の事故に備えてドライブレコーダーを設置するのはもちろんですが、より効果的にドライブレコーダーを運用して事故防止につなげたいと考える企業も多いのではないでしょうか。そこで、業務用ドライブレコーダーを効果的に運用する方法について、いくつかご紹介します。

危険な運転は運転者に映像を共有する

従業員に対して安全運転への声掛けをおこなっているものの、一部の運転者の意識が低く事故が減らない場合、事故防止策として取り入れられることとして、ドライブレコーダーの記録映像を運転者に共有することが挙げられます。車による事故が起きる原因はさまざまですが、車間距離をとらなかったことによる追突や、法定速度を超えたことによる自損事故などは、運転者の安全運転への意識を高めることで解決することができます。

危険な運転をしていた場合はもちろん、実際に事故を起こした場合も、事故の様子を記録した映像を見せることで、自身の運転ミスを認め意識を改めるきっかけになります。

記録をもとにこまめな声掛けを実施する

危険な運転をしていた場合や実際に事故を起こした場合だけでなく、ドライブレコーダーの記録映像を定期的に従業員と共有し、こまめな声掛けを実施することにより危険運転の抑止を図ることも効果的です。通常業務の傍ら毎日ドライブレコーダーを確認するのは大変ですが、週に一度でもスピードがでやすい箇所の共有や少し危険だと感じる運転を共有するだけで、従業員の安全運転への意識は向上します。

客観的事実を伝えるのがポイント

運転に慣れたドライバーであれば、運転技術を指摘されることが不愉快と思ってしまう人もいることでしょう。そのような人には、感覚的であいまいな表現で指摘せず、ドライブレコーダーの映像から分かる客観的事実を的確に伝えることが大事です。

また、日頃からコミュニケーションの一貫として、ドライブレコーダーの映像を見せて事実確認を行うだけでも事故の抑止効果は見込めます。声掛けで迷った際は、参考にしてみてください。

 

まとめ

ドライブレコーダーは、事故発生時に正確な事故状況を記録に残す役割だけでなく、車を使用する目的に応じたさまざまな機能によって、事故の抑止や車両管理にも役立ちます。 また、近年社会問題にもなっているあおり運転などの危険運転に対する抑止にも効果的です。ドライブレコーダーといっても、衝撃を検知した際に前後の映像が記録されるタイプや常時録画が行われるタイプのほか、搭載されている機能もさまざまです。 そのため、ドライブレコーダーを導入する際は、車を使用する目的に応じてそれぞれの用途にあったドライブレコーダーを選ぶことが大切です。 

 


パイオニアの通信型ドライブレコーダーのカタログを
PDFでご覧いただけます。