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運行管理者の仕事内容とは?どんな人に向いている?

運行管理者は、運送業界や旅行業界などで欠かせない存在です。業界における事故やトラブルを背景に、近年は安全性がより一層求められています。この記事では、運行管理者の具体的な仕事内容や運行管理者がどのような人に向いているのかを詳しく解説します。

目次

1.運行管理者とは

2.運行管理者の仕事内容

2-1.車両管理
2-2.安全管理
2-3.労務管理
2-4.スケジュール管理
2-5.配送ルートの管理

3.運行管理者になるためには「運行管理者資格者証」が必要

3-1.試験を受けて取得する方法
3-2.試験を受けずに取得する方法

4.運行管理者になる利点

4-1.内勤で働ける
4-2.就職に有利となる
4-3.安定したキャリアを築ける

5.運行管理者に向いている人

5-1.責任感の強い人
5-2.コミュニケーション能力の高い人

6.まとめ

 

運行管理者とは

事業用の車は安全に運行するために必要な存在であり、運送会社では配置することが義務付けられています。公共の安全やドライバーの安全を守る大切な役割を担っていますが、国家資格を取得することが必要です。
業界における事故やトラブルの発生を受けて、法律の改正や安全運行の指導がされるなど、より一層安全性が求められています。ようするにドライバーによる事故を防ぎ、安全体制を維持するための中心的な役割を担っているのが運行管理者です。

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運行管理者の仕事内容

運行管理者は、安全管理のために幅広い仕事内容をこなす必要があります。

車両管理

事業所はトラックやタクシー、バスなどの車両を保有していますが、車両に何らかの問題があるまま運送が行われると、事故につながってしまう可能性があります。そのため、事業用自動車の状態に問題がないかをチェックする必要があるのです。
車両の点検に加えて、台数も定期的に確認します。車両点検の作業自体は別の担当者が行うことが多いですが、点検の結果などは運行管理者に報告されます。
また、車両に何か問題や異変があった場合は原因を調査して対処することが必要です。運行スケジュールや納期に影響がないように調整しましょう。

安全管理

事業者によりドライバーとして選ばれた者のみが、事業用の車を運転するように管理できます。ドライバーの疲労や健康状態を把握し、疾病、疲労、睡眠不足などの理由から、安全に運行できない可能性があるドライバーには乗務させないようにする必要があります。
長距離運転や夜間運転で、疲労などから安全な運行を続けられない可能性がある場合は、前もって交代のドライバーを配置します。さらに事故を防止するために、講習やトレーニングをしてドライバーのスキルや安全意識を高めます。
運転中だけでなく、荷物の積み込みに関しても管理が必要です。積載方法や、荷物の載せすぎを防ぐための指導や監督も行います。運搬中の荷崩れによる落下防止のため、ロープやシート掛けの方法についても同様です。

労務管理

運行管理者は人材の管理も担当し、乗務前後には運行管理者が自ら同席して対面による点呼を行います。点呼の際には、出勤や退勤・ドライバーの健康状態・アルコール摂取の有無・睡眠状態・免許証の携帯・身だしなみなどもチェックします。
点呼記録簿を確認して、ドライバーの労働時間や残業時間を把握することが必要です。しっかりとドライバーの労務管理をすることで、ドライバーの過労運転を防ぎます。
さらには睡眠や休息を目的としてドライバーが利用する施設を、きちんと管理することも仕事です。残業しすぎていないか、労働時間が長すぎないかをチェックし、労働時間に見合った報酬を受けられるようにサポートする役割もあります。

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スケジュール管理

運行管理者は納期や運行スケジュールなど、スムーズに業務が遂行できるよう計画を立てます。ドライバーの中には経験豊富な人もいれば、まだ経験の浅い人もいます。
ドライバーのキャリアや能力も鑑みながら、効率よく業務がこなせるようにスケジュールを作成する必要があるのです。
また、乗務割を作成する際は細かい基準も守らなくてはなりません。連続運転時間は4時間を超えないようにすること、1日に継続して8時間以上の休息をさせることなどの基準があります。
トラックやバス、タクシーそれぞれで詳しい拘束時間も定められているため、決められた時間を超えないように配慮しなくてはなりません。休憩時間まで考慮して計画を立てます。

参考:事業用自動車の安全対策:自動車総合安全情報 (mlit.go.jp)

配送ルートの管理

運行管理者はトラック運行の場合、効率的な配送や納期の遵守のためには適切なルートを選ぶ必要があります。効率的な配送は、ドライバーの健康面によい影響を与える上、余計なコストの削減につながるからです。
スムーズに、効率的に配送できるルートであると同時に、安全面にも配慮する必要があります。悪天候の際には、より安全に走行するために予定していたルートの変更をドライバーに指示するケースもあります。
道路工事をしている場合は、工事場所を避けたルートを見つけるようにして状況に応じたルートを管理する必要があるのです。効率的な配送をすると同時に、最新の道路情報や天候などさまざまな面も考慮して配送ルートを管理します。

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運行管理者になるためには「運行管理者資格者証」が必要

さまざまな業務をこなす運行管理者は、誰にでも任せられるものではありません。運行管理者になるためには、まず国家資格である運行管理者資格者証を取得する必要があります。
事業の種別、物を運ぶのか人を乗せるのかによって、旅客または貨物の資格者証を交付してもらいます。資格者証を取得するための手段としては以下の2つです。

試験を受けて取得する方法

国土交通大臣から指定された試験機関である、公益財団法人運行管理者試験センターが行う試験に合格すると資格を取得できます。
試験を受けるには受験資格を満たす必要があり、運行管理に関する実務経験を試験日の前日までに1年以上積んでいること、または実務経験と同等の講習を修了していること(もしくは期日までに修了予定であること)が条件です。
実務試験と同等の講習とは、国土交通大臣によって認定されている講習実施機関での基礎講習のことです。試験は年に2回開催されており、例年であれば3月と8月頃です。
受験手数料は新規受験、再受験ともに6,000円(非課税)で、試験結果レポートを希望する場合は手数料140円(税込)がプラスでかかります。
新規受験申請の場合はシステム利用料として660円(税込)、再受験であればシステム利用料660円(税込)に加えて事務手数料として200円(税込)を別に支払います。
令和3年度第2回試験での合格率は、貨物が32.3%、旅客が34.5%です。合格率は決して高いとはいえません。合格するためには計画的に準備を進め、テキストや過去問を使って問題に慣れておく必要があります。

参考記事:受験概要|公益財団法人 運行管理者試験センター (unkan.or.jp)
試験を受けた方|公益財団法人 運行管理者試験センター (unkan.or.jp)

試験を受けずに取得する方法

国で定められた一定の実務経験や講習を受けることで、試験なしで資格証を取得することも可能です。具体的には、運行管理補助者としての実務経験が5年以上あること、その期間中に運行管理に関する講習を5回以上(そのうち1回は基礎講習)受けている必要があります。
これらを満たせば、指定書類の提出によって資格を取得できます。同じ年に講習を複数回受けても、1回とカウントされる点には注意が必要です。また、基礎講習受講後に補助者として選任された日がスタートとなるため、基礎講習の受講前に受けた一般講習はカウントされません。
実務経験を証明するためには、勤務先の事業者に「運行管理に関する実務経験証明書」に必要事項を記載してもらいます。実務経験が複数の事業者にまたがる場合は、それぞれにお願いする必要があります

運行管理者になる利点

試験合格や一定条件を満たした人だけが従事できる運行管理者ですが、資格を取得できればさまざまなメリットがあります。

内勤で働ける

基本的には内勤の仕事です。そのため、暑さや寒さ、天候などに左右されにくい環境で働けたり、年齢を重ねても長く働けたりといったメリットがあります。
運送業界で働くドライバーは、重い荷物の積み込みや長時間の運転など、体力が求められる仕事です。年齢を重ねて体力が衰えるにつれて、働き続けることが難しく感じる場合もあります。その点、内勤の運行管理者であれば体力に大きく左右されません。年齢や体力の衰えにかかわらず長く働きたいという人にもおすすめです。
また、内勤は他の社員やスタッフと顔を合わせて仕事をするため、コミュニケーションがとりやすいメリットもあります。

就職に有利となる

営業所や事業所が保有する車両の数が多ければ、その分運行管理者の人数も必要になります。資格を持っていることで求職の際に有利になるでしょう。資格を持っていることを条件としている会社にも応募できます。運行管理者の資格試験は合格率が低めですが、資格取得者は応募先の会社から見ても確保したい人材だと思ってもらえる可能性が高いのです。さらに会社に就職すれば一生安泰であるという考え方は薄れつつありますよね。転職が必要となる場合もありますが、資格を持っていると転職の際にも有利といえます。
運行管理者を必要とする業界はトラック業界や旅行業界など幅広いため、転職の際にも資格を活かせるでしょう。

安定したキャリアを築ける

近年ECサイトが普及したことで、運送業の需要はより一層高まっています。そのため、将来性のある業界といえるのです。運送業を営む場合、持っている事業用自動車の台数の増加にともなって配置すべき運行管理者の数は増えます。
運行管理者の資格があれば、業界内で必要とされる可能性が高いです。また、運行管理者になることで昇給や昇進も期待できます。会社によっても変わりますが、一般のドライバーから管理職への昇進や資格手当を付けてもらえることが可能です。幅広い業務をこなすため責任は大きくなりますが、給与や待遇面でのメリットを得て安定したキャリアを築くのに役立つでしょう

関連記事:運行管理者になるには?試験の内容や合格率を徹底解説! |お役立ち情報|パイオニア株式会社 (pioneer.jp)

運行管理者に向いている人

さまざまな業務をこなす運行管理者は、やりがいのある仕事といえます。運行管理者になりたい場合、自分にできるのかも気になりますよね。こちらでは、運行管理者に向いている人の特徴を2点ご紹介します。

責任感の強い人

運行管理者は試験に合格したり、決められた条件を満たしたりした人だけが従事できる仕事です。事業用自動車が事故なく安全に運行するために欠かせない存在であり、公共の安全やドライバーの安全という観点からみても、その責任は大きいといえます。
たとえば乗務割の作成にあたっては連続運転時間や休息時間などの細かな基準がありますが、そのようなルールや決まりはきちんと守らなくてはなりません。「このくらいなら許されるだろう」と緩めてしまうと、重大な事故を引き起こす可能性があるでしょう。
運行管理者に従事する人は、責任感を持って仕事に取り組む必要があります。悪天候時のルート変更といった状況に応じて判断を求められる場面もあり、安全かつ予定通りに業務をこなすためには、責任感を持って臨機応変に仕事を遂行する必要があるのです。

コミュニケーション能力の高い人

運行管理者は安全運行のために人材の管理も行います。ドライバーの中には、自分と同年代の人もいれば年長者のベテランドライバーもいます。年齢層も性格もさまざまなドライバーを取りまとめるのは運行管理者であり、いわばリーダー的存在ともいえるのです。
そのため、いろいろな人と上手に付き合えるコミュニケーション能力は欠かせません。ドライバーの健康状態をチェックしたり、安全意識を高めるための指導をしたり、荷物の積載方法を監督したりと、さまざまな面でドライバーと関わる必要があります。
仕事上いろいろな部署の人と関わることも多いため、スムーズに仕事をするためには普段から関係性を築いておくことも大切です

まとめ

トラックやバス、タクシーなどの事業用自動車が安全に運行するためには、運行管理者の存在が必要不可欠です。運行管理者になるためには、運行管理者試験に合格するか、一定の実務経験や講習を受けることが必要です。
簡単に資格を取得できるわけではありませんが、資格を持っていることでキャリアアップや求職、転職の際に有利になります。
車両管理や安全管理、乗務割の作成などの労務管理、ドライバーへの指導・監督、ドライバーの健康状態や疲労状態のチェック、配送ルートの管理など、業務内容は多岐にわたります。
運行管理者に向いている人の特徴としては、コミュニケーション能力が高いこと、責任感を持って仕事に臨めることなどが挙げられます。