2021年11月10日、「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令」が公布され、白ナンバーの乗用車5台以上、または乗車定員が11人以上の自動車を1台使用する事業所ごとに選任する必要のある安全運転管理者の業務として、新たにアルコールチェック業務が追加されました。2022年8月現在の状況についてお伝えしていきます。(2022年9月13日追記:下記で紹介しているパブリックコメントは、募集が8月13日で締め切られ、9月9日にアルコール検知器での酒気帯び確認の義務化の無期延期が発表されました。最新動向についてはこちらの記事をご覧ください https://mobility-service.pioneer.jp/contents/alcohol-check-law202209/)
1.アルコールチェック義務化が延期?
2.延期が発表された背景とは?
3.パブリックコメントの募集とは?
4.パブリックコメント募集後の流れとは?
5.まとめ
2022年4月1日より本改正道路交通法施行規則が順次施行され、目視等によるアルコールチェック義務化などが義務化され、安全運転管理者の業務が拡充しています。(改正道路交通法施行規則の詳細についてはこちらを参照ください)
当初、2022年10月1日からアルコール検知器を用いたアルコールチェックの義務化が予定されていました。しかし、2022年7月14日に警察庁は検知器を用いたチェックの延期検討を明らかにし、同時にパブリックコメントの募集を開始しました。募集は8月13日で締め切られ、現在は意見の集計期間であるとみられます。
上述の通り、2022年4月1日より安全運転管理者が目視等により、運転者の酒気帯び有無について確認することが義務化されています。これについての延期は検討されておらず、従来通り安全運転管理者はアルコールチェック業務を履行する必要があります。今回、延期が発表されているのはアルコール検知器を利用した酒気帯び有無確認業務です。
(2022年9月13日追記:下記で紹介しているパブリックコメントは、募集が8月13日で締め切られ、9月9日にアルコール検知器での酒気帯び確認の義務化の無期延期が発表されました。最新動向についてはこちらの記事をご覧ください)。
警察庁はパブリックコメントの募集開始に際して、2022年10月1日に施行予定であった道路交通法施行規則の改正延期の理由について以下のように記載しています。
「最近のアルコール検知器の供給状況等を踏まえ、当分の間、安全運転管理者に対するアルコール検知器の使用義務化に係る規定を適用しないこととする」
アルコール検知器に利用される呼気中のアルコールを感知するセンサーは、電気化学式(燃料電池式)と半導体式という方式が用いられており、半導体が重要な役割を持っています。
折からの世界的な半導体不足は日本国内のアルコール検知器メーカーにも大きく影響を与えており、主要製造メーカーで構成されるアルコール検知器協議会は「半導体不足などから、10月1日までに市場が求める台数の確保は不可能」とする意見書を警察庁に提出していました。
参考:道路交通法施行規則の改正延期についてのパブリックコメント募集開始報道について | アルコール検知器(アルコールチェッカー)ソシアック | 中央自動車工業株式会社 (sociac.jp)
パブリックコメントとは、公的な機関が規則あるいは命令を規定する際に、広く公に意見・情報・改善案などを求める手続きです。
今回、警察庁はアルコールチェック義務化対応の延期検討に際し、2022年7月15日にe-Govを通じて、案の公示・意見募集(パブリックコメントの受付)を既に開始しています。募集期間は7月15日から8月13日までとなり、今回の公募においては、インターネット(e-Govパブリックコメント意見提出フォームまたは電子メール)または郵送にて意見を提出することが可能です。なお、意見は誰でも提出可能となり、意見を提出する際の住所、氏名、電話番号、メールアドレスの記入は任意となっています。
図:パブリックコメントの流れについて、パブリック・コメント制度について | e-Govパブリック・コメントの情報を基に、弊社で作成
30日間の募集期間終了後に、警察庁で意見が十分に考慮された後、延期内容が策定され、e-Gov上で結果が公示されます。今回の法令について結果が公示される日程は本記事公開現時点で不明ですが、過去に国家公安委員会または警察庁によって意見が募集された案件については、募集期間が終了後に約一カ月程度で結果が公示されています(注1)。
また、公示される内容についても現時点では不明となり、延期期間がどの程度になるのかが注目されます。パブリックコメントによる意見募集結果により、公示される内容が正式に決定・案内されますが、おそらく目視等によるアルコールチェックの義務化は、これまで通り継続されるでしょう(注2)。
注1:e-Govにある過去3年間の案件結果の平均を記載したもので、募集期間終了後10日で公示されたケースもあります。あくまでも、参考意見として留めてください。
注2:パブリックコメントで寄せられる意見によって、この内容についても変更になる可能性があります。あくまでも、参考意見として留めてください。
半導体不足が懸念される中、アルコール検知器メーカーの製造も厳しい状況にある背景も踏まえ、アルコール検知器によるアルコールチェックの義務化の延期が検討されることとなっています。
現在はパブリックコメントの募集期間ですが、募集終了後のスケジュールや公示される内容は不確定です。
今後も警察庁からの発信を受け情報を更新します。
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