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【2023年6月更新】運行管理者になるには?勉強法、試験内容や合格率を徹底解説!

運行管理者は、事業用自動車を持っている営業所において必須の人材です。とはいえ、運行管理者になるためには、いくつかの条件を満たすか、試験に合格する必要があります。こちらの記事では、試験の種類や内容、合格率について解説します。勉強方法や注意点もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

1.運行管理者の特徴

1-1.運行管理者とは?
1-2.運行管理者の具体的な業務

2.運行管理者になるには?

2-1.運行管理者制度
2-2.実務経験や講習を経験する
2-3.運行管理者試験に合格する

3.運行管理者試験の合格率

3-1.運行管理者試験の種類
3-2.試験日程や受験手数料
3-3.貨物の運行管理者試験の概要と合格率
3-4.旅客の運行管理者試験の概要と合格率

4.運行管理者試験の難易度や必要な勉強期間

4-1.合格率が低い理由
4-2.勉強期間

5.運行管理者試験の勉強方法や注意点

5-1.受験資格を満たす
5-2.テキストや過去問で勉強
5-3.CBT試験に慣れる

6.運行管理者の資格取得のメリット

6-1.職業の安定性
6-2.昇進・昇給
6-3.裁量が大きい

7.まとめ

 

運行管理者の特徴

まずは特徴や業務内容です。

運行管理者とは?

運行管理者は国家資格です。事業用自動車が安全に運行するために、運送会社で配置が義務付けられています。トラックやバス、タクシーなどは一般の車や歩行者も往来している公共の道路を走行しますよね。
一般客を乗せて走る場合もあり、ドライバーの運転操作や判断が多くの人の命に関わってきます。ハンドルを握るドライバーには、高い安全意識が求められるのです。
ドライバーによる事故を防ぐために、運行管理者は大きな役割を担っており、ドライバーの健康状態や疲労状態を把握して、安全な運行をするための指導を行います。

運行管理者の具体的な業務

運行管理者は乗務記録の管理、ドライバーのシフト作成、ドライバーの休憩所・睡眠施設の管理、ドライバーの安全意識を高めるための教育や指導など、さまざまな業務をこなします。どれも事業用自動車が安全に運行するために欠かせないものです。また、乗務前後には対面での点呼を行い、ドライバーの健康状態や疲労状態を確認します。
アルコールを摂取していないかの確認をする必要もあります。悪天候のときの運行経路の変更など、安全に運行するための指示も行います。このように仕事は幅広く、判断力や指導力などのスキルが求められるのです

運行管理者になるには?

運行管理者はニーズがあるとはいえ、誰でもなれるわけではありません。以下にご紹介するような条件を満たし、決められた試験に合格する必要があります。

運行管理者制度

運送会社では営業所ごとに、一定人数以上の運行管理者を選任する必要がありますが、持っている車両台数に応じて配置人数は変わってきます。この運行管理者は、国家資格である運行管理者資格者証の交付を受けている者でなければなりません。
つまり運行管理者になるためには、まず運行管理者資格者証を取得する必要があるのです。運送会社の事業の種別によって、旅客または貨物の資格者証を交付してもらいます。資格者証を取得するためには、以下の2つの方法があります。

関連記事:罰則対象になりうる「運行管理者の不在」。 押さえるべき法令のポイント |お役立ち情報|クラウド型車両・運行管理サービス ビークルアシスト|パイオニア株式会社 (pioneer.jp)

実務経験や講習を経験する

国で定められた一定の実務経験や講習を受けることで、資格者証を取得することが可能です。具体的には、運行管理の実務経験が5年以上あること、さらにその実務経験の間に運行管理に関する講習を5回以上受けていることを満たせば、指定された書類の提出によって資格を取得できます。
受講する講習のうち、1回は基礎講習である必要があります。また、同じ年に講習を複数回受けても、1回とみなされる点には注意が必要です。
試験を受けなくても運行管理者の資格を取得できる方法ではありますが、資格も何もない状態で実務経験を積むのは難しいでしょう。

参考:運行管理者とは?業務内容から資格取得に必要な条件・選任方法まで解説|生涯学習のユーキャン (u-can.co.jp)

運行管理者試験に合格する

国土交通大臣の指定を受けた指定試験機関である公益財団法人運行管理者試験センターが行っている試験に合格することで、資格を取得できます。後で詳しく解説しますが、試験を受ける際には受験資格を満たす必要があります。
とはいえ、資格取得のための5年以上の実務経験ほどハードルは高くないため、比較的容易に受験資格は満たせるはずです

関連記事:2024年問題とは?物流業界に生じる問題や課題、対策まで解説 |お役立ち情報|パイオニア株式会社 (pioneer.jp)

運行管理者試験の合格率

運行管理者試験の合格率は年度や試験日、種類によって変わります。

運行管理者試験の種類

運行管理者試験には貨物と旅客の2種類があります。貨物試験はトラックによる物の輸送が対象、旅客試験はバスやタクシーなど人を乗せて運行する業務が対象です。
CBT試験の導入によって試験日に期間が設けられていますが、1回の試験で受験できるのは貨物・旅客含めて1回のみです。貨物と旅客は試験の内容が異なりますが、出題される5分野のうち以下の4分野は共通しています。

    • 道路運送車両法関係
    • 道路交通法関係
    • 労働基準法関係
    • その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力

 

残りの1分野は、貨物試験が「貨物自動車運送事業法関係」、旅客試験が「道路運送法関係」から出題されます。

試験日程や受験手数料

試験は年に2回開催されます。必ずしも予定通りに開催されるとは限りませんが、例年であれば3月と8月です。CBT試験の導入によって試験期間が設けられており、令和4年度の第1回試験は8月6日~9月4日までとなっています。

令和5年度の第1回試験は令和5年8月5日(土)~9月3日(日)です。合格発表は令和5年の9月20日(水)を予定しています。

受験手数料は新規受験、再受験ともに6,000円(非課税)です。希望者のみ、試験結果レポート手数料140円(税込)がかかります。新規受験申請の場合、システム利用料として660円(税込)が必要です。
再受験であればシステム利用料660円(税込)に加えて事務手数料として200円(税込)を別に支払います。支払い方法はコンビニ決済、クレジットカード決済、ペイジー決済が利用可能です。
※最新の情報は公式ウェブサイトでご確認ください。令和5年度第1回 運行管理者試験のご案内

貨物の運行管理者試験の概要と合格率

5分野の中からそれぞれ4~8問ずつ、計30問出題されます。設問数8で最も多く出題される貨物自動車運送事業法関係の分野では、基本的なことや安全面に関することが問われます。
設問数4の「道路運送車両法関係」では、車両の登録や点検、保安部品などに関する知識を身につける必要があります。
設問数5の「道路交通法関係」では、運行管理に関する項目や飲酒運転、過労運転にまつわる基準などが問われる傾向にあります。
設問数6の「労働基準法関係」の分野では、連続運転時間や休憩時間、拘束時間など、運転をともなう労働に関する具体的な数字も把握しておきましょう。
設問数7の「その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力」では、運行管理者の立場から見た問題が出題されます。
合格するには、30問中18問以上正解することが原則で、分野別にそれぞれ1問以上正解する必要があります。「その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力」の分野では2問以上の正解が必要です。
令和3年度第2回試験では、貨物試験の受験者数は2万7,982人、合格者数は9,028人で、合格率は32.3%となっています。

旅客の運行管理者試験の概要と合格率

貨物と同様、5分野で30問出題されます。貨物と唯一異なる分野である「道路運送法関係」は、旅客試験の基本となる法律です。
出題数も8問と最も多いため、人数や日数などの数字も含めて覚えておきましょう。合格するには、原則として18問以上の正解が必要で、それぞれの分野で1問以上の正解が求められます。
「その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力」の分野では、2問以上正解する必要があります。令和3年度第2回試験では、旅客試験の受験者数は5,787人、合格者数は1,999人で、合格率は34.5%です。

参考:受験概要|公益財団法人 運行管理者試験センター (unkan.or.jp)
試験を受けた方|公益財団法人 運行管理者試験センター (unkan.or.jp)

 

運行管理者試験の難易度や必要な勉強期間

運行管理者試験の難易度はだんだん上がっているといわれています。こちらでは、試験の合格率が低い理由や必要な勉強期間について解説します。

合格率が低い理由

運転免許証を取得するために必要な交通ルールをすでに知っていたり、実際に車の運転をしていたりする場合は基本的な交通ルールの知識を持っていることも多いため、試験問題を解く際には有利になる場合もあります。
ただし法律の知識や専門用語を理解し、計算問題などもこなす必要があるため、簡単に取得できる資格ではありません。業界における事故やトラブルの発生も背景にあります。
バス会社や旅行業者に対して安全運行のための指導や法律の改正でより一層安全性が求められている中、しっかりと知識を持った人のみが資格を取得できるようにするためには、問題の難易度が上がることは避けられないともいえるのです。

勉強期間

試験に合格するために必要な勉強時間は、50~100時間が目安です。1日のうち勉強に費やせる時間を計算し、どれくらいの期間が必要かを算出します。
たとえば1日に2時間ほど勉強できる場合は、100時間ほど勉強するまでに50日間かかります。ただし試験を受けるためには運行管理に関する実務経験が1年以上あることが条件です。
仕事をしながらの勉強は時間の確保が難しいケースも多いため、余裕を持たせて計画的に準備を進めておくことで、試験直前に焦らずに済むでしょう。

参考:運行管理者試験の合格に必要な勉強時間は?試験傾向やおすすめ勉強法を紹介│資格のキャリカレ (c-c-j.com)
受験概要|公益財団法人 運行管理者試験センター (unkan.or.jp)

 

運行管理者試験の勉強方法や注意点

運行管理者試験を受ける場合に知っておきたい、勉強方法や注意点をご紹介します。

受験資格を満たす

試験を受けるには、まず受験資格を満たす必要があります。運行管理に関する実務経験を試験日の前日までに1年以上積んでいること、もしくは実務経験と同等の講習を修了していること(または期日までに修了予定であること)が受験の条件です。
実務試験と同等の講習とは、国土交通大臣によって認定されている講習実施機関での基礎講習を指します。また、講習の種類と試験の種類は同一である必要があります。そもそもこの条件を満たしていないと受験ができないため、注意しましょう。

参考:受験概要|公益財団法人 運行管理者試験センター (unkan.or.jp)

テキストや過去問で勉強

法改正や近年の出題傾向にも対応するため、最新版のテキストを入手しましょう。費用を抑えようとして古いテキストを使うのはおすすめできません。
また、法律関連の設問が多く、聞き慣れない専門用語も出てくるため、効率よく学べて且つわかりやすい教材を選ぶこともポイントです。
要点を絞って大事なところは押さえてくれるようなテキストであれば、限られた時間で効率のよい学習ができるでしょう。また、過去問を解くのも効果的です。
運行管理者試験は過去と同じような問題が出されることも多いため、過去問をしっかり解いて問題に慣れておくことをおすすめします。暗記が必要な部分もありますが、繰り返し問題を解いて出題形式を把握しておくことも必要です。

CBT試験に慣れる

令和3年度からCBT試験に全面移行されています。筆記による試験は行っておらず、問題用紙やマークシートは利用しません。CBT試験では設問を読むのも解答するのも、テストセンターにあるパソコンを使います。
また、令和3年度から書面による申請の受付も終了しており、受験の申請から受験確認書の受取まで、すべてインターネット経由で行う必要があります。
CBT試験の流れとしては、まず受験申請サイトから情報を入力し、提出書類の審査が完了するのを待ちます。完了後はCBT試験専用サイトにアクセスして、試験会場や日時の予約、手数料の支払いをして受験確認書をメールで受け取ります。
このように申請の段階からインターネットを使って行うため、パソコンの操作には慣れておくと安心でしょう。

参考:CBT試験新規受験申請|受験概要|公益財団法人 運行管理者試験センター (unkan.or.jp)
よくある質問|公益財団法人 運行管理者試験センター (unkan.or.jp)

 

運行管理者の資格取得のメリット

最後に、運行管理者の資格を持つことでどのようなメリットがあるのか解説します。

職業の安定性

事業用自動車を保有する営業所にとって、運行管理者は必須の存在です。車両数を多く持っていればその分運行管理者の人数も確保する必要があるため、ニーズのある職業といえます。
また、運送会社やタクシー、バスなど、資格を活かせる業界はいろいろあるため、転職や求職の際にも活躍するはずです。応募できる業界の幅や選択肢が広がります。
ドライバーは体力が必要なため年齢を重ねると継続が難しく感じる場合もありますが、運行管理者は基本的に内勤の仕事です。そのため、長く働けるというメリットもあります。

昇進・昇給

待遇面でもメリットが期待できます。仕事内容や会社によっても変わってきますが、一般のドライバーから管理職へとキャリアアップできたり、職種はそのままで資格手当が付いたりと、何らかの形で給与のアップが見込めるでしょう。
会社によっては、昇進や昇給をするために運行管理者の資格取得が条件となっているケースもあります。毎日同じように働き続けていても給与のアップが見込めない場合は、資格を活用してキャリアアップや昇給を目指してみるのもひとつです。

裁量が大きい

運行管理者は、運送会社が事業用自動車を安全に運行するために必要な存在です。そのため、その役割は大きく、求められる仕事も幅広いです。
シフト管理やドライバーの健康状態の確認、教育や指導などさまざまな業務をこなします。悪天候のときには運行経路を変更し、自らが判断する場面も多く、自分の裁量で仕事を決められると一面もあります。
判断力や指導力など、求められるスキルも多いです。責任は大きいですが、その分やりがいも感じられるでしょう

まとめ

運行管理者は、運送会社など事業用自動車を保有する会社や営業所には欠かせない存在です。運行管理者になるためには、一定の実務経験と講習の受講をするか、試験に合格する必要があります。
運行管理者試験は簡単に合格できるわけではありませんが、テキストを読み込んで過去問をしっかり解き、計画的に勉強を進めていくことで、合格できる可能性は高まるでしょう。資格取得によって、キャリアアップや職業の安定といったメリットを得られます。