ドライブレコーダーは一般の車両にも取り付けられることが増えてきており、身近なものになってきています。 事業者(法人)車両用のドライブレコーダーは、事故発生時の証拠としての役割はもちろん、日々の安全運行や効率的な運行に役立てられています。 一般の個人用車両のものとは役割や目的が異なる事業者向けドライブレコーダーですが、必要な初期費用や契約方法はどのようになっているのでしょうか。
2-1.機器購入プラン
2-2.機器レンタルプラン
2-3.リースプラン
4-1.撮影できる画角が広範囲か
4-2.GPSは内蔵されているか
4-3.撮影範囲はどうなっているか
4-4.通信型のものか
4-5.運行管理システムと連携できるか
事業者向けのドライブレコーダーを導入する場合、初期費用として取り付け工賃や初期登録料が発生します。初期費用として提示されている金額に、取り付け工賃費用が含まれているケースもあります。
取り付け工賃の目安としては、前だけで約1万円、前後に両方設置する場合は2万円前後です。ただし取り付けの依頼先によっても変わってくるため、あくまで目安と考えましょう。
また、メーカーによっては初期費用0円を謳っているプランもあります。多くの車両を保有する事業者の場合、すべての車両にドライブレコーダーを設置すると初期費用が高くなってしまうこともあるため、初期費用を抑えたいなら0円プランもチェックしてみるとよいでしょう。
機器を購入するプランでは、初期費用として機器の代金も台数分必要です。機器の代金はメーカーや機能によって違いますが、目安としては4万円からになります。
事業者向けのドライブレコーダーを契約する場合、各社から提供されているさまざまなプランから選ぶ必要があります。それぞれで特徴が異なるため、自社に合った方法を選ぶことがポイントです。
こちらでは、事業者向けのドライブレコーダーの契約方法として3つのタイプを紹介します。それぞれがどのような事業者におすすめであるかも記載しておきます。
最初にドライブレコーダー本体を購入し、サービス料を月々支払うプランです。月々のサービス料には、システム利用料や通信費、サポート費などが含まれるのが一般的です。
取り付け費用に加えて、利用するドライブレコーダーの台数分の購入費用が必要なため、初期費用は高めですがランニングコストは抑えられます。
毎月支払う費用を抑えつつ、機器を減価償却したい事業者におすすめのプランです。減価償却することで費用として計上できるため、法人税の節約になります。
注意点としては、ドライブレコーダーの無料保証期間を過ぎると故障時の修理費用の負担や買い替え費用が発生することが挙げられます。また、年々ドライブレコーダーの機能はアップグレードされていきますが、新機能の機器を使用したいなら対応した機器への買い替えが必要となります。
ドライブレコーダー本体の利用料金と、サービス料を月々まとめて支払うプランです。最初にドライブレコーダー本体を購入する必要がないため、初期費用を抑えたい事業者や、機器を自社で保有したくない事業者におすすめです。
購入する場合は無料の保証期間が決められていますが、レンタルであればサービス利用期間中にドライブレコーダーが故障したときの修理費用や交換費用はかからないことも多いでしょう。
機能がアップグレードした場合には、新機能の機器を利用できることもメリットです。ただし、レンタルの場合は月々の支払い料金が高めになります。
また、最低利用期間の縛りがあったり、継続の場合は年単位なのか月単位なのかといった違いや、何台以上といった導入台数の決まりがあるため条件には注意が必要です。
ドライブレコーダー本体の利用料やサービス料をリースに組み込み、リース会社から請求される仕組みのプランです。
利用者のニーズに合わせた機器をリース会社が購入し、賃借するという仕組みです。機器の取り付け費用などはかかるものの、ドライブレコーダー本体の購入費用がかかりません。そのため初期費用を抑えつつ、中長期的な利用をしたい事業者におすすめです。
中途解約が難しく、故障などの際には利用者が修繕する必要がありますが、レンタルと比較すると月額料金が割安になる傾向にあります。
最新の機器を使えることもメリットです。たとえばパイオニアが提供するビークルアシストパッケージの3年リースプランの場合、3年経過した37ヶ月目以降は月額サービス利用料と再リース料の支払いで済むため、月々の支払い負担を減らせます。
参考:ご利用案内|ビークルアシスト パッケージ|業務用カーソリューション|パイオニア株式会社 (pioneer.jp)
撮影範囲と形状に分けて、ドライブレコーダーの種類を紹介します。
ドライブレコーダーでどこを撮影できるのかは、大きなポイントです。ドライブレコーダーを設置する目的を果たせるよう、撮影範囲はよく考えて選ぶことをおすすめします。
昔の主流である、前方のみを記録するタイプです。構造がシンプルで、機器本体の価格も比較的安価です。基本的にカメラとモニターが1つになっているので設置しやすく、取り付け工賃も抑えられます。
車両の前方で発生する事故などに備えたい場合や、機器本体の価格・取り付け工賃を抑えたい場合におすすめです。
しかし、事故は車両の前方で起こるとは限りません。そのため前方のみの記録では車両の周辺状況を把握しきれず、証拠などとして提出するには不充分である可能性もあります。前方録画の機器を2つ購入して、車体の前後に取り付ける方法もあります。
車両の前方と車内の様子の両方を録画できます。たとえばタクシーなどで車内の様子も録画できると、乗客からドライバーに対する暴行や強盗の記録が可能です。
タクシーではドライバー1人で複数人のグループ客や酔っぱらった乗客を乗せるため、トラブルに巻き込まれるケースもあるでしょう。車内も録画できるドライブレコーダーを設置することで、事故に備えるだけでなく、ドライバーの安全を守るためにも役立ちます。
社会問題にもなっているあおり運転などを受けて、ニーズが高まっているタイプです。前方と後方の2ヶ所にカメラを設置し、前方だけでなく後方の様子も記録します。
あおり運転などの後方車両の危険運転や、後ろからの追突に備えられます。後方のカメラで車両の後ろ側を録画できるため、ナンバーなどもくっきりと記録しやすいでしょう。
出会い頭に横から衝突される事故なども記録するためには、前方カメラの視野角の広さが大切です。
ドライブレコーダーの形状によって、設置のしやすさや見た目に違いがあります。
ドライブレコーダーには、撮影や記録、センサーなどさまざまな機能が備わっていますが、それらの機能を担うユニットが1つになったタイプです。
従来の一体型は大きくてかさばりがちでしたが、最近は各ユニットの小型化によってコンパクトサイズの機器も増えており現在の主流となっています。
1つにまとめられているため設置がしやすく、取り付け費用も抑えられます。電源や配線をまとめられるため、見た目もすっきりするでしょう。ただ、ミラーの後ろなどに設置すると操作しにくい場合があるのが注意点です。
本体とカメラが別になっているタイプです。フロントガラスなどに設置するカメラの部分が小さいため、視界を遮りにくいという特徴があります。
本体はダッシュボード付近に取り付けられることが多いため、一体型のようにフロントガラスに取り付けるよりも本体部分が直射日光にさらされず、熱による故障なども起こりにくいです。
しかし配線数が多いため設置の工程が増えることや、他の機器との電波干渉によりノイズが発生することもある点がデメリットです。
ルームミラーに設置するタイプで、シンプルな構造です。そのため前方の視界を遮りにくく、車内をすっきりと見せられます。角度調整が重要ではありますが、配線もわかりやすく設置しやすいのもメリットです。
ミラー型は、本体と一体になったタイプと分離したタイプがあります。一体になっている場合はより車内がすっきりとしますが、車両を複数人で使う場合はルームミラーを調整する度に撮影の角度が変わってしまう点には注意しましょう。
たくさんあるドライブレコーダーの中から、目的に合ったドライブレコーダーを選ぶ必要があります。
事業用のドライブレコーダー選びの際に知っておきたいポイントを5つ紹介します。
画角とは撮影できる景色の範囲を角度で表したものです。ドライブレコーダーなどのカメラには、水平画角・垂直画角・対角線画角があります。
水平画角はフレームの左右方向の角度、垂直画角はフレームの上下方向の角度、対角線画角はフレームの角から角の方向における角度を指します。
画角が広範囲であれば、それだけ記録できる範囲が増えるということです。前方のみのカメラの場合、画角が広ければ横方向からの車や人の動きも捉えられます。
「事故の証拠や、ドライバーの運転状況をより広範囲で映像に残したい」という場合は、画角が広範囲であるドライブレコーダーがおすすめです。
位置情報を記録できるかどうかは、重要なポイントといえます。GPS機能なしのドライブレコーダーよりも価格は高めですが、GPS機能があれば車両がどこを走っているのかを把握できます。
通信システムもあわせて利用すれば、リアルタイムで走行している場所を特定可能です。さらに事故が発生した際は、より正確に事故発生時の状況を記録でき、証拠としての役割も強まります。
なぜならGPS機能付きのドライブレコーダーは、走行時の映像と共に車両の位置や日付、時間、走行速度を残せるためです。映像だけでは、いつ、どこで撮影されたものなのかがわかりませんが、GPS機能が付いていることでそれらも一緒に記録されます。
ドライブレコーダーを導入する目的によっては、撮影範囲の広さは重要なポイントです。たとえば事故やトラブル発生の際の証拠映像として残したい場合、前方カメラだけでは後ろからの追突や、後方車両の危険運転の様子は録画できません。
事故やトラブルは車両の前方で起こるとは限らないのです。そのため、前方だけでなく後方も撮影できるタイプがおすすめになります。
360度撮影できるカメラであれば、サイドの様子も撮影しやすくなります。また、タクシーなどにおいては車内の様子も撮影することで、ドライバーの安全確保に役立てられるでしょう。
以前の主流は、インターネットと接続しない非通信型でした。SDカードなどに映像が保存され、事故の際の状況把握や証拠映像として役立てられていました。
一方で、非通信型は映像確認の手間がかかるというデメリットがあります。そのため、事業用車両に使う場合は効率的に映像を確認できて、衝撃などのアクシデントを検出できる通信型のものがおすすめです。
運行管理システムとは、情報システムを用いて運行計画の作成や管理、配車管理など業務の効率化や迅速化、安全運転をサポートするものです。
運行管理する本部と、現場の車両を連携させて管理します。運行管理システムと連携できるタイプのドライブレコーダーを選ぶことで、より効率的な管理が期待できます。
各社から運行管理連携型のドライブレコーダーが提供されています。たとえばパイオニアが提供しているTVRC-DH500やTMX-DM04-VAなどが挙げられます。
安全運転指導の自動実施、日報や月報の自動作成など、事務所にいながらドライバーの状況や現場の状況を把握できて、効率的な業務に役立つでしょう。
事業者向けドライブレコーダーを導入する際は、初期費用として取り付け工賃や初期登録料が必要です。ドライブレコーダーを購入する場合は、機器の購入代金も発生します。
契約方法としては、機器を購入してサービス料を毎月支払うプランや、機器をレンタルもしくはリースして、機器本体の利用料やサービス料を毎月支払うプランがあります。
利用期間や利用方法、目的にマッチしたプランを選びましょう。ドライブレコーダーによって撮影範囲や形状も変わってきます。
撮影範囲が広いタイプや、GPS機能付き、通信型やAI型を選ぶのがおすすめです。運行管理システムと連携できるタイプであれば、より業務の効率化や安全運転に役立てられるでしょう。