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トラックの事故原因は?代表例と対策を解説

一般車と違い、事故が発生すると重大事故になりやすいのがトラックです。昨今はトラックの安全性が向上しているとはいえ、まだまだトラックの事故は後を絶ちません。それではトラックの事故原因はいったい何なのでしょうか。今回はトラックドライバーが知っておくべき内容を紹介します。

目次

1.トラック事故の現状

1-1.トラック事故の特徴
1-2.追突事故
1-3.バック事故
1-4.あおり運転
1-5.死角・巻き込み事故

2.トラック事故を防止するための注意点

2-1.安全装置を過信しない
2-2.十分な車間距離を確保する
2-3.よそ見・脇見はやめる
2-4.コーナリングに気を付ける
2-5.巻き込み事故に注意する
2-6.熟練ドライバーは慢心しない

3.事故防止に役立つドライブレコーダーの機能

3-1.ドライブレコーダーの特徴
3-2.運転支援機能による事故防止
3-3.GPS機能による運転状況の把握
3-4.録画機能による運転のくせの見直し

4.事故防止に役立つ車両管理システム

4-1.車両管理システムとは
4-2.事故を未然に防げる
4-3.安全運転管理者・従業員のパフォーマンス向上

5.まと

トラック事故の現状

まずは、トラック事故の現状を確認してみましょう。

トラック事故の特徴

トラック事故は年々減少しています。平成18年に起きたトラック事故の件数は30,328件でしたが、平成27年になると16,156件と約半数にまで減少しています。
その中でトラック事故が最も多く起きている時間帯は、午前8時から11時の間で全体の3割以上を占めています。また、死亡事故に限れば午前0時から5時の間が多く、ドライバーが眠気を感じている時間帯であることや、周囲が暗いために重大事故が起こりやすいといえるでしょう。
深夜帯の時間は危険ですが、事故件数自体が減っているので死亡する例は少なくなってきています。平成27年に発生したトラック事故の16,156件のうち、8割以上に該当する13,659件が、免許取得から10年以上経過したドライバーによって起こっているのが事実です。
運転技術の過信により緊張感がなくなってしまい、咄嗟の判断ができずに事故が起きているといえるでしょう。実際、安全確認不足や脇見運転など、安全運転義務違反で事故が起きています。

関連記事:企業の存続を左右する「疲労時の運転」の危険性。 行政処分の可能性も |お役立ち情報|クラウド型車両・運行管理サービス ビークルアシスト|パイオニア株式会社 (pioneer.jp)

追突事故

トラックの事故で、最も多く確認されているのがヒューマンエラーによる追突事故です。
近年のトラックには制動システムが導入されています。最大積載量以内の積み荷を積載し法定速度で走行していれば、安全に減速や停車ができるようになっているとはいえ、トラック運転手の方は注意が必要です。

バック事故

トラックに乗り慣れていない方や、運転の経験が少ない方だと、車両の感覚が正確に掴めていないためバック事故を起こしやすいです。特に、ルームミラーで後方の状況が確認できないトラックでは、バックモニターを使用しなければならないため、サイドミラーへの意識が疎かになっているケースもあるでしょう。
一般車と違ってトラックには多くの死角が存在するので、目視やミラー、バックモニターを使って状況・安全確認を行う必要があります。

あおり運転

乗用車のドライバーにはわかりづらいトラックならではの事情があります。たとえば、急に割り込まれたときに荷物を積載していると急に止まれませんし、急ブレーキを踏めば荷崩れが起こる可能性があります。中にはトラックを目の敵にしている人もいるようで、追い越し車線に入ったトラックに対して並走して走行車線に戻れなくする人も。
反対に、余裕がないスケジュールを組まされてトラック運転手がストレスを感じてしまい、乗用車をあおってしまうケースもあります。あおり運転、あおられ運転が原因で事故につながっているのも事実です。

関連記事:あおり運転防止に向けて事業者が導入すべきツールとは |お役立ち情報|クラウド型車両・運行管理サービス ビークルアシスト|パイオニア株式会社 (pioneer.jp)

死角・巻き込み事故

先程も伝えた通り、トラックには乗用車以上の死角が存在します。とくに右左折の激突・巻き込み事故は、トラック事故での発生率上位にくるほど多く確認されています。
人が確認できる状況でも、相手が子どもだと死角になってしまうケースがあるため、子どもが巻き込まれて死亡するケースは珍しくありません

トラック事故を防止するための注意点

トラック事故を防ぐためには、どんな方法があるのでしょうか。ここで、具体的な対策を見ていきましょう。

安全装置を過信しない

トラックにはABS(アンチロック・ブレーキ・システム)以外にもさまざまな安全装置が開発されており、運転支援システムや車線逸防止支援システムなどが搭載されています。自動的にブレーキがかかり人や自動車との衝突を回避する装置なども該当します。
しかし、安全装置はあくまでもドライバーをアシストする機能に過ぎないので、過信してはいけません。事故防止をするのはドライバー自身である意識を持って運転しましょう。
なお、新しく売り出される車のほとんどには自動ブレーキが搭載されていていますが、最終的な判断はドライバーに委ねられます。そのため「安全装置があるから大丈夫」とは考えないようにしましょう。

十分な車間距離を確保する

トラックには高性能な制動装置が搭載されていますが、制動距離が長くなるので、十分に車間距離を確保しなければなりません。トラックは重量がある性質上、急停止が困難です。急停止すると荷崩れが起こるリスクもあるためです。
トラックを停車させるには制動力が必要です。十分な車間距離を確保すれば、事故防止につながります。

よそ見・脇見はやめる

よそ見運転や脇見運転も事故のもとになります。運転支援システムが導入されて、よそ見や脇見をしたときに警告音やアナウンスをしてくれるサポート装置がありますが、運転支援システムが運転するわけではありません。
トラックの周囲の情報収集をしておけば防げる事故も存在しますが、進行方向の情報収集を疎かにしてしまうと事故につながります。進行方向の情報を優先的に収集しつつ、よそ見運転や脇見運転をしないで運転しなければなりません。

コーナリングに気を付ける

トラックはカーブに侵入する前に十分な減速をしておく必要があります。速度を出しすぎた状態でカーブに侵入すると、荷崩れを起こしたり、カーブを曲がりきれずに転倒してしまったりするからです。
カーブの手前に十分な減速をしておき、確実なコーナリングを心がければ事故防止になるので、コーナリングにも注意をしましょう。

巻き込み事故に注意する

長いトラックを運転している場合は、コーナリングや右左折時に内輪差が生じ、巻き込み事故のもとになります。コーナリングや右左折時の内輪差を常に意識して運転をしましょう。
とくに、子どもは身長が小さく死角に入りやすくなってしまうため、子どもの巻き込み事故が多発しています。コーナリングや右左折時に「死角には必ず子どもがいる」と意識するくらいがちょうどよいかもしれません。

熟練ドライバーは慢心しない

事故を起こしたドライバーを見てみると、10年以上経験している熟練ドライバーの事故が多いとわかりました。たとえば、いつも通行するルートを走行しているときに「そろそろ交通量が少ない場所に差し掛かる」と認識した経験がある人もいるはずです。
しかし、道路状況は常に変化するので、常に安全確認をしながら運転しなければなりません。誤った認識は事故のもとになるので注意しましょう。
また、該当する人は少ないかもしれませんが、SNSの普及により運転中もスマートフォンが気になる場合も注意してください。トラックの運転には情報収集が欠かせないので、ながら運転をしないようにしましょう

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事故防止に役立つドライブレコーダーの機能

ドライブレコーダーを設置していれば、事故を防止する対策として活用できます。さらにドライブレコーダーには運転を記録する以外にも、さまざまな機能が搭載されているのです。

ドライブレコーダーの特徴

ドライブレコーダーは運転中の様子を録画しておくアイテムです。事故発生時に過失の割合を求めたり、公平に判断したりする時に役に立つので、事故が起きた時にスムーズな解決が見込めます。
そんなドライブレコーダーにはいくつか種類があります。バッテリーがある間録画し続ける常時録画型、衝撃を受けたときにGセンサーやモーションセンサーが反応して録画を開始する衝撃感知型、GPSや運転支援機能が搭載された多機能型などです。
常時録画型はエンジンを起動した瞬間から録画を開始するものと、エンジンが止まっている間だけ録画をするものが存在します。衝撃感知型は荷物を下ろしている間の衝突事故を、衝撃を感知する前から録画してくれます。
多機能型に搭載されているGPSは、位置情報や正確な時間、トラックの走行スピードなどの情報も記録してくれるので、事故が起きたときの証拠としてより有効です。

運転支援機能による事故防止

運転支援機能は名前の通り、ドライバーの運転をサポートしてくれる機能です。よそ見運転や脇見運転をしているときに警告音を鳴らしてくれたり、車間距離を詰めすぎたときに警告してくれたりします。
信号待ちをしていて、前方の車両が発進したのに気付かないときにも運転支援機能が活躍します。逐一警告音で通知してくれるため、ドライバーは警告音が鳴らないような運転を心がけることになり、ドライバー自身の技術向上が見込めるのも利点です。
しかし、運転支援機能は完全なものではなく、あくまでもドライバーをサポートする機能に過ぎないので、過信しないようにしましょう。

GPS機能による運転状況の把握

GPS機能は位置情報や時間、走行スピードなどを記録できる機能です。ドライブレコーダーだけではわからない情報を記録できるので、事故が起きた時の情報としてより効力を持ちます。
また、GPS機能があれば管理者側で運転状況を把握したり、危険な運転をしていないかどうかをチェックできたりするので、ドライバーに合わせた安全運転教育も可能です。
他にも、GPS機能があればルートの最適化を実現できます。常に監視されている感覚になり人によっては快く思わないかもしれませんが、GPS機能があれば会社にもドライバーにもメリットがあります。

録画機能による運転のくせの見直し

ドライブレコーダーの録画機能はドライバーの癖を見直せます。車間距離を詰めがちな癖や車線をはみ出してしまいがちな癖など、ドライバーごとに指摘ができるので、安全運転の指導ができます。
また、運転の癖を見直せれば、より安全に運転ができるようになり、事故が起きたとき以外にも活用することが可能です

事故防止に役立つ車両管理システム

事故防止に役立つのはドライブレコーダーだけではありません。車両管理システムも役立ちます。

車両管理システムとは

車両管理システムがあれば、全ドライバーの運行状況を効率的に管理できるようになります。ドライバーの状況をリアルタイムで確認できて、仕事や運転指導に活かせるのが特徴です。
業務の効率を求める場合や、管理をする側からドライバーの安全確認を行いたい場合におすすめです。

事故を未然に防げる

車両管理システムには位置情報の取得や危険運転アラート通知、運転指向分析やヒヤリハットマップなどさまざまな機能が搭載されています。いずれも事故を未然に防ぐ機能として有効で、ドライブレコーダーとは違った使い方が可能です。
他にも、到着時刻の予測や、配送ルートの最適化機能もあるので、ドライバーの状況を確認しつつ、ドライバーの負担を軽減できます。

安全運転管理者・従業員のパフォーマンス向上

車両管理システムがあると、安全運転管理者としては管理が楽になります。車両の稼働状況が一覧で表示される上、業務に適切な車両台数の見直しができるのでコストカットが可能です。
また、到着時刻の予想ができるため、遅延していないかどうかの確認もできます。従業員の利点となる機能としては、日報の自動作成です。パソコンでダウンロードができるので、帳票管理者の業務も削減できるでしょう。
さらに、運転成績表やランキング表によって、1人ひとりの運転スキルをスコアリングでき、モチベーションアップにつなげられるのもメリットです。
車両管理システムを導入すれば、事故が起きない管理体制の確立や、従業員のよそ見運転や脇見運転の減少、従業員の居眠り運転の減少が促せます。従業員の長時間労働も未然に防げるので、結果としてあらゆる面のコストカットが可能です

参考記事:運行管理者の仕事内容とは?どんな人に向いている? |お役立ち情報|クラウド型車両・運行管理サービス ビークルアシスト|パイオニア株式会社 (pioneer.jp)
罰則対象になりうる「運行管理者の不在」。 押さえるべき法令のポイント |お役立ち情報|クラウド型車両・運行管理サービス ビークルアシスト|パイオニア株式会社 (pioneer.jp)

まとめ

トラックの事故原因のなかには「過信」もあります慣れているからといって過信しては、事故のもととなるため、改めて注意しましょう。
ドライブレコーダーがあれば事故の様子や運転の癖を見直すことができます。企業は、ドライバー管理や業務効率化、運転技術の向上を目的として車両管理システムを導入してみるのもよいでしょう。
もちろんシステムを導入するだけで、事故がなくなることありませんので、最終的にはドライバーの技術が事故を未然に防ぐという意識を常に持つことが大切です。