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社有車を通勤利用させる際に企業側が注意すべき点は

企業では業務の効率化を図る目的で、専用の社有車が導入されている場合があります。企業によっては、その社有車を通勤用として、社員に貸し出している場合もあります。 企業は社有車を通勤利用させることのリスク管理も怠ってはいけません。そこで今回は、社有車を通勤利用させる際に企業側が注意するべきポイントについて解説します。

目次

1.社有車は基本的に通勤使用させないのがおすすめ

1-1.事故を起こしてしまうリスク
1-2.盗難などの責任が会社にも及ぶ可能性がある

2.社有車を通勤に利用させる場合は就業規則の徹底を!

2-1.通勤ルートの指定
2-2.通勤以外の用事での使用を禁止する
2-3.業務外で起きた事故の責任の所在
2-4.交通違反等の罰金は社員が負担
2-5.社員本人以外への勝手な貸し出しを禁止する
2-6.走行距離や給油等の情報を記録させる

3.事故防止のためにも社有車にはドライブレコーダーの設置を

4.社有車のドライブレコーダーにGPSは必須?

5.社有車にGPSを設置する際の注意点

6.まとめ

 

社有車は基本的に通勤使用させないのがおすすめ

社有車は、社員に通勤利用として貸し出しをすることはおすすめしません。業務上で通勤にどうしても必要不可欠になり、社有車の貸し出しが必要な場合は、必ずメリットやデメリットを考慮して検討しましょう。
社有車を通勤利用させているケースの1つとして、営業先や取引先から帰社するタイミングが社員によって異なり、時間が遅くなると社有車のまま帰宅を許可される場合があります。
この場合、翌日の通勤手段が社有車になるため、通勤利用することになります。また、休日や週末を挟むと数日間貸し切り状態になり、社員は社用車を使い放題になります。
企業によって支給される交通費や通勤費はありますが、自家用車の場合は自分でガソリンスタンドに行って支払いと給油を済ませます。しかし、社有車は企業からガソリンスタンド用のカードを支給されているケースが多く、社員に対して通勤費や交通費を支給していても通勤利用されることにより、別途余分なガソリン代が発生します。
基本的に通勤手当は、月ごと上限額が設定されている場合がほとんどのため、限度額を超えての通勤手当の利用はできません。しかし、社有車は事業用としても扱っているため、具体的に月にどれほど使用したかを把握しづらい点があります。
社有車のガソリン代以外にも、通勤利用させない方が良い理由があります。

事故を起こしてしまうリスク

社有車を通勤利用として貸し出している場合、当然のことながら交通事故のリスクがより多く発生します。自家用車に比べて社有車は運転頻度が多くない場合もあるため、不慣れなハンドル操作による事故の危険性もあるでしょう。
社有車のハンドル操作に慣れており運転に支障がない場合でも、通勤時間帯は渋滞も多く、思わぬ追突事故などに巻き込まれるリスクもあります。この場合、保険料の支払いや過失の問題など事後処理も大変です。

盗難などの責任が会社にも及ぶ可能性がある

社有車を通勤利用として貸し出すと、盗難のリスクがあります。社有車を通勤利用として貸し出してしまうと、自宅にいる間の使い方が実質自由になるため、決められた場所に保管されず盗難に遭う可能性があります。
また車によっては自動ロックや安全性能など、便利な機能が搭載された車があります。しかし、社有車はただ走行できて、ある程度荷物が載せられるくらいのグレードの車が多く、安全面には期待できません

関連記事:ケース別に見る、社用車の責任所在。 使用者責任と運行供用者責任とは?|車両管理ならビークルアシスト|パイオニア株式会社 (pioneer.jp)

逆に、マイカーを業務利用するときの注意については、こちらをご覧ください。
マイカーを業務利用する際に企業が行うべき車両管理とは|車両管理ならビークルアシスト|パイオニア株式会社 (pioneer.jp)

社有車を通勤に利用させる場合は就業規則の徹底を!

仕事上、仕方なく社有車を通勤利用として社員に貸し出す場合があります。その際には、就業規則を徹底して、社有車を通勤利用させる上での決まり事を明確にしておきましょう。
社有車を通勤利用させる場合に必ず規則を定めておかなければいけない義務はありませんが、必要な規定を明確にさせて全体に共有しておくことが大切です。
ルールを事前に決めておくことで、経理上管理しやすくなる点はもちろん、何かトラブルが発生した場合に解決できないということがなくなります。
では、具体的にどのような方法でルールを定めておけば良いのでしょうか。ここでは、社有車を通勤に利用させる場合の就業規則について解説します。

通勤ルートの指定

社有車を通勤に利用させる際には、通勤ルートを事前に指定しておきましょう。市街地や通勤ルートが複雑な場合、ルートによっては遠回りになることや事故の危険性が高いルートがあります。
基本的な通勤ルートを固定することで、社有車の管理がしやすくなります。位置情報を搭載した社有車であれば、通勤ルートの位置情報も確認できるため便利です。
また、通勤ラッシュ時の渋滞を防止するため、交通状況を考慮した通勤ルートを定めておくと安心です。

通勤以外の用事での使用を禁止する

社有車を通勤手段として貸し出す場合は、通勤以外の用事での使用を禁止しておきましょう。
翌日に社有車で出社する場合はそこまで心配は要らないものの、夜間にどのような用途で使用されるかわかりません。翌日の出社が決まっている場合でも、使用用途を通勤のみに定めておくのがおすすめです。
また週末や休日、長期休暇中の貸し出しには特に注意しましょう。休みに入ると、社有車の管理が困難になり別の用途で使用される可能性が高まります。
ガソリンの消耗や交通事故のリスクも高まるため、社員に長期間預けたままにするのは避けましょう。

業務外で起きた事故の責任の所在

社有車の貸し出し中、交通事故に遭遇した場合の責任の所在が曖昧になります。社有車は所有方法として購入もしくは、カーリースで利用している場合とでわかれます。
社有車を企業が購入して利用している場合、車検証の名義は企業です。社有車を社員に貸し出している間に交通事故を起こすと、責任や保険の適用は車の所有者の契約内容に基づき処理されるため企業側に責任が問われます。

交通違反等の罰金は社員が負担

社有車の所有者の名義が企業側であっても、交通違反などの取り締まりに関わる違反点数や罰金は社員が負担します。
交通違反はドライバーの運転免許証に対して処理されるため、企業が契約している自動車保険などは関係なく企業側にペナルティは発生しません。

社員本人以外への勝手な貸し出しを禁止する

社有車を通勤手段として貸し出す場合、社員本人以外への勝手な貸し出しを禁止しておきましょう。よくあるケースとして自分以外の家族や友人に貸し出すことが考えられます。
社員と企業以外の第三者に貸し出してしまうことでガソリンの消費や責任の所在、交通事故に関する処理が複雑になってしまいます。
また、車内の資材や貴重品などの紛失リスクも高くなるため、社員本人以外の貸し出しは禁止しておいた方が安全です。

走行距離や給油等の情報を記録させる

社有車を貸し出した際には、貸し出した社員に対して走行距離や給油の記録などの情報を控えさせておくようにしましょう。業務中の利用であれば、社有車の管理担当が車両情報を控えていますが、勤務時間以外の利用記録を後から追うのは困難です。
業務以外の時間帯における社有車の情報が曖昧になってしまわぬように、必ず社員に対して情報を記録させるようにしましょう

関連記事:社用車の運転日報とは?書き方や記載する内容などを解説 |お役立ち情報|クラウド型車両・運行管理サービス ビークルアシスト|パイオニア株式会社 (pioneer.jp)

事故防止のためにも社有車にはドライブレコーダーの設置を

現在の交通社会では、あおり運転や当て逃げなどの事故が増加しており社会問題になっています。そのような事例において、心強い味方になるのがドライブレコーダーです。
ドライブレコーダーの導入は自家用車だけでなく、企業の社有車にも必要でしょう。ドライブレコーダーの導入費用は決して安くありませんし、社用車を複数台所有している企業は台数分必要になります。
しかし、交通事故を起こしてしまった際の保険料や修理代を考えれば、リスクヘッジとして導入するのがおすすめです。ドライブレコーダーの導入によって得られるメリットは多く、安全面で大きな支えになります。
交通事故は走行中に起こるものとは限りません。駐車場での当て逃げや盗難が発生する可能性もあります。その場合、24時間監視機能が付いたドライブレコーダーを導入すれば、目を離している時や夜間も安心です。
また、ドライブレコーダーの種類によって、搭載されているカメラの画角も様々です。軽自動車はそこまで広角な視野は必要ありません。しかし、普通車やワンボックスなどの大きい車の場合は、カメラの画角が広いことで死角になりやすい場所の監視もカバーできます。
このように、走行記録以外にも多くのメリットがあるドライブレコーダーですが、社員の運転に関する安全教育資料としても役立ちます。
走行中に交通事故が起きやすい場所や、ヒヤリとするシーンなどを細かく記録できます、その映像を見返すことにより、運転を安全に行うための教育資料として活用できるのです。運転を始めたての社員からベテランのドライバーまで安全意識を共有させることで、企業全体の運転に対する意識が高まります

参考記事:4月以降、新入社員の事故が不安…効果的な事故防止対策とは |お役立ち情報|パイオニア株式会社 (pioneer.jp)

社有車のドライブレコーダーにGPSは必須?

GPSは、社有車の居場所を把握できる優れたシステムです。GPSを導入すれば社員の行動を監視できるため、業務の効率化や交通事故に対する危険防止を図れます。
しかし社員にとっては、GPSをドライブレコーダーに搭載させることで、常に会社に監視されているといった状況になるため、導入には消極的な社員もいるでしょう。
しかしGPSには社員を監視しているだけではなく、他にも便利で役立つ機能があるので企業側は多くのメリットを受けられます。
GPSを導入することで、マップや荷物の現在地などを共有できます。社有車を使用する場面で多いのは、取引先へ出向くケースです。事前に到着時間を取引先と共有していますが、交通状況によっては規定の時間に到着するとは限りません。
その場合に、社有車の走行マップや荷物の現在地を共有しておくことで、取引先はリアルタイムに位置が把握できます。事前に到着が遅れると把握できれば、時間を持て余すことも少なくできるでしょう。
GPSを導入することで、社員に対しての安全意識の向上に繋げられます。交通状況や位置情報を共有されていることにより、社員はいつも以上に交通状況に対して注意力が増します。
これにより大きな交通事故を防ぎ、さらに保険料や修理代の節約にも役立てられるため安全面と大幅なコスト削減が両立できます。
このように企業にとってのメリットが目立ちますが、運転する社員側にもメリットはあります。社員は走行に関する走行距離や残りのガソリンの量などを日報で残しますが、GPSを活用することでこれらのデータを自動的に記録してくれます。
業務によっては日報の作成まで手が回らず、帰社時刻が遅くなる場合があります。このようなケースにおいて、車両情報を自動記録させておくことで、業務の効率化や残業時間を短縮できます。
便利なデータの記録以外に、取引先への訪問計画を自動的に作成できる機能も備わっています。この機能を活用することで、取引先へ訪問する度に計画書を作成する手間が省けます。
このように企業側が社員の運転状況を監視するだけでなく、事故を未然に防いで社用車にかかる修理代や保険料などのコスト削減、走行記録の自動化といったあらゆる側面で活躍してくれます

社有車にGPSを設置する際の注意点

社有車にGPSを設置する際、多くの場合社員の監視や位置情報の把握を目的としていますが、社員にとってはプライバシーを侵害されていると反発を受ける可能性もあります。
そのため、社有車にGPSを設置する際には、いくつかの点に注意しなければなりません。企業側の社員の監視は、労務管理を目的として行われる場合が多いです。この労務管理に即した使用方法でGPSを活用しないと違法になる恐れがあります。
特に社有車の走行距離が長い場合、休憩時間が設けられることもあります。しかし、その間の仮眠やトイレ休憩など、細かな行動の記録や個人情報の抜き取りは違法に当たるかもしれません。
もし、社員の通勤手段として貸し出している社有車に、GPSが取り付けられている場合も注意しましょう。企業のGPSの使用が適法となるのは、業務時間中のみです。社有車にGPSが取り付けられたまま退社してしまうと、個人宅の情報が記録されてしまいます。
この情報を悪用・誤用すると違法に該当してしまうため、退社時にはGPSを取り外す、もしくは電源を切っておくなどの対応が必要になります。
また、社員の業務に対する怠けが発覚した場合にも適度に注意する、業務態度を改善させるなどの対応に留めておきましょう。不正が発覚したからといって、度を超えた指導や嫌がらせなどが横行してしまうと企業は社会的な信用を失ってしまいます。このような場合、GPSで業務を円滑に回しているはずが逆効果になってしまうので注意しましょう

参考:社有車の車内カメラはプライバシー侵害?搭載されている機能は? |お役立ち情報|クラウド型車両・運行管理サービス ビークルアシスト|パイオニア株式会社 (pioneer.jp)

まとめ

この記事では、社有車を通勤利用させる際企業側が注意するべきポイントについて解説しました。社員が社有車を利用する機会が多いとその責任や決まり事が曖昧になりやすいですがあくまでも企業の所有物です。 
そのため、業務中の利用や社員の通勤手段など、どんな場面でも基本的には企業側に責任があることを忘れないようにしましょう。 
また、ドライブレコーダーやGPSも本来の使用目的から外れた使い方をしないように気をつけましょう。 
社有車を所有する企業は、業務の効率化や改善が大きな目的であることがほとんどです。この側面を忘れないように、社有車を日々の業務に役立てましょう。